1999年11月22日(第2・4月曜日発行)


News Source of Educational Audiology

聴能情報誌 みみだより 第3巻 第378号 通巻463号


編集・発行人:みみだより会、立入 哉 〒790−0833 愛媛県松山市祝谷5丁目2−25 FAX:089-946-5211
購読料照会・新規購読申込・記事内容照会などは、郵便かFAXでお問い合わせいただくか、
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立入 哉 :h-tachi@ma4.justnet.ne.jp


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【目次】第378号

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補聴器に関する国際フォーラム
第4回  International Forum 2000 開催

期日・場所: 2000年2月11日(金・祝)京都駅前「京都テルサ」 9:30〜
2000年2月13日(日)「新高輪プリンスホテル」 9:30〜

内容 1:Educational Audiologyに関する講演(講師:現EAA会長 Dr.Barbara)
2:子どもの人工内耳装用に関する講演(講師:Paaytricia M.Chute C.C.C.)

翻訳スタッフ募集
 フォーラムで配布される資料に日本語訳を付ける作業のお手伝いをお願いできる方を探しております。最終校正をしますので,自信のない方でもOKです。ぜひ,お力添えをお願い申し上げます。ご応募は編集部まで。

【目次】



研究会開催
 東京都ろう教育研究会・聴能教育研究会のご案内

      テーマ:『補聴に関わる最近の動向と聴能教育の今日的課題』
講 師:大沼直紀氏(筑波技術短期大学教授)

 これまで教育現場では子どもたちの補聴に関して、集団補聴器をはじめとして様々な形での工夫と努力がなされてきました。また、個人補聴器についてもデジタル技術の進歩に伴いプログラマブルやフルデジタル、周波数圧縮変換型のものなどが開発され、既に実用化されるに至っています。更に、それらの補聴器の適応が困難な子どもたちについては、人工内耳が検討され、実際、教育現場においても人工内耳を装用した子どもの事例はそれほど珍しいものではなくなってきています。このような状況の中、学校として一定水準の聴能に関するサービスと聴能を担当する教員のより高い資質が求められています。
 今回の聴能教育研究会では、そのような状況を踏まえ、特に最近の補聴に関わる動向と絡めながら、学校としての聴能教育やそのあり方について考えてみたいと思います。
 また当日は、補聴器会社による展示(特にデジタルを中心に)も合わせて企画しました。
 なお、今回はろう学校に限らず同じ聴覚障害教育に携わる難聴学級の先生方にも是非参加していただきたいと考えています。

1. 日 時  12月4日(土)午後2時20分〜午後4時30分
           (業者による補聴器展示1:30〜2:20)
2. 会 場  東京都立江東ろう学校
3. 参加費  会員無料、  非会員200円
4. 定 員  50名
5.参加対象  ろう学校及び難聴学級の教員
6.申込方法  参加申込書にご記入の上、下記宛にFAXにてお申し込み下さい。
7.照 会 先  東京都立ろう学校聴能教育研究会 代表 間根山 祥行
 勤務先 東京都立品川ろう学校 TEL 03(3474)3801
                  FAX 03(3474)3182



参加申込書
      氏  名 :  
     所属機関名:  
     所属機関住所: (〒        )
     所属機関連絡先: TEL               FAX

【目次】



勉強会開催
  ろう教育科学会「 勉 強 会 」

演題:『知的障害者を教育する養護学校に転勤して思うこと』
−自我発達の観点から−

講師:平山 進 氏(兵庫県立姫路養護学校)
日時:12月4日(土)午後4時〜午後5時30分
場所:大阪府立生野聾学校(小学部図書室)    ※参加費無料

 8月に大会・総会を終え、本年度第1回目の勉強会は、昨年4月に姫路聾学校から、姫路養護学校へ転勤された平山進先生に、お話を伺うことにしました。
 前任校では『自我』に焦点を当てた教育実践を試みてきた。昨年4月に着任した現任校でもこの観点を大切にしながら教育実践に取り組んでいる。本学習会では、障害児教育においても自我発達の観点から有用であることを提起したい。
  ※この勉強会について生野聾学校へのお問い合わせはご遠慮ください。


【目次】



案内
  あなたに音を知らせます 〜聴導犬の活躍〜

 盲導犬、介助犬、セラピー犬…
 近年、医療・福祉の分野でアシスタント・ドッグ〜障害者の生活を手助けをするために特別に訓練された犬〜が注目されています。
 聴導犬もその1つであり、聴覚障害者への日常のさまざまな音を聞き分け、伝える働きをします。しかし、日本で育成された聴導犬は現在20頭足らずであり、普及はまだまだこれからの段階です。聴導犬とはどんな働きをするのか、デモンストレーションを通して実際に見てみませんか。


 ◇ 日 時 : 11月28日(日)午後2時〜4時
 ◇ 会 場 : 大阪市立中央青年センター 5F 第1体育室
(地下鉄中央線・長堀鶴見緑地線・JR環状線 森之宮駅下車)
 ◇ 講 師 : 有馬 もと(ジャパン聴導犬協会 運営統括責任者)
 ◇ 定 員 : 100名(応募多数の場合、抽選)
 ◇ 参加費 : 無料
 ◇申込方法: 電話・faxまたはハガキで、住所、氏名、年齢、電話・fax番号、参加動機を記入し、「聴導犬講座希望」と明記の上、下記まで申し込む

【目次】



関連新刊図書紹介

★音のない記憶:ろうあの天才写真家井上孝治の生涯
 黒岩比佐子著 文芸春秋 2190円 4-16-355730-X

★医師は何をしたか:高齢の母を病院で亡くして
 桐山やす子著 ぴいぷる社 1500円 4-89374-134-9
 死亡診断書に書かれた病名は医師の説明とは違っていた。母の闘病に付き添った著者=難聴者が、死の真実を明かにすることにいどんだ。

★理容・美容室のための手話
 高橋由美子著 DL企画事務所とぅるーす 1000円 書店販売せず
 210円切手を添付し角を切った角4封筒に返送先宛名と「冊子小包」と記入したものと,冊子代1000円を同封し,下記に現金書留で依頼する。
 〒060-0042 札幌市中央区大通西18丁目 シャンボール大通6F

★障害者職業能力開発校便覧1999
 労働省職業能力開発局編集 雇用問題研究会 2667円 4-87563-182-0

★障害者雇用ガイドブック1999年版
 日本障害者雇用促進協会編集 雇用問題研究会 1700円 4-87563-183-9

★発達障害白書2000〈メインテーマ〉流れを変える
 日本知的障害福祉連盟編 日本文化科学社 4000円 4-8210-7302-1

★現代の社会福祉
 森田明美他著 一橋出版 1300円 4-8348-0304-X

★地域リハビリテーション最前線:まちのなかでくらす
 大仲功一他編 医歯薬出版 3800円 『総合ケア』別冊

★福祉教育・ボランティア学習の価値と目標
 東洋堂企画出版社 2850円 4-924706-82-5

★実例で考える統計解析の落とし穴
 長田理著 克誠堂出版 3200円 4-7719-0214-3

★ひきつけ・けいれんは小児てんかんを疑え
 金沢治著 講談社 1300円 4-06-259212-6

★医療技術者の資格と仕事がわかる本
 法学書院編集部編 法学書院 1400円 4-587-41425-5

★障害者の心理 杉村省吾他編著 一橋出版 1040円 4-8348-0049-0

【目次】



新刊冊子紹介
  大 人 に な る き み へ

大人になるきみへ
紹介文より・・・
 「きみはこれまでに,自分の障害について,じっくり考えたことがありますか?」という問いかけから始まる聴覚障害児をもつ親が書いた,子どもたちへのメッセージ集。
 どう生きていけばいいのか悩んでいるとき,対人関係がうまくいっていないとき,自分に自信が持てないとき,きっと何か大切なものが見つかる!自分発見の本。

 本書は帝京大学病院での早期教育を受けてきた親子の会「ひまわり会」に属するお母さんたちが子どもに向けて書いた本である。今までの母親の体験を新しい母親に伝えるという形の内容ではなく,自分の子どもが自分という存在に悩み,それを見てきた母親がどのように子どもに接し,話してきたかという実践集でもある。1冊600円,送料別途。

目次 
  1. 自分の障害について考えたことがありますか?
  2. きみがうまれて,きみのまわりの人はどんなに喜んだことでしょう。
  3. 地球上にはじつにさまざまな人が住んでいます。
そのなかでまつたく同じという人がいるでしょうか。
  4. 「出合い」……それは,素敵な予感。
  5. きみが思っているように,人は思っていない。
  6. 人の心を開く鍵は「相手を好きになること」
  7. コペル君たちへ。
  8. 大好きなことをする時間が,きみのエネルギーとなる。
  9. きみのなかに,きみをみつめるもう一人のきみがいる。
 10. きみのおかげで,皆が少しずつ幸せになることを知っていますか。
 11. 大人になることについて。

注文方法: 600円×購入冊数+送料を郵便振替で送金する。
郵便振替口座  00100−7−572941
加 入 者 名  帝京ひまわり会文芸クラブ
※通信欄に希望冊数をお書き込み願います。
送料: 1冊180円,2〜3冊310円,4冊340円,5〜6冊380円
7〜9冊450円,10冊以上 送料無料

【目次】



冊子紹介

★冊子紹介「リハビリテ−ション」(416号)1999.8・9号
  〔特集〕障害者の学校教育と受入体制
 大学生になって   柳島寛樹 14
 ハンディキャップをもつ者にとっての障害の重みを実感して   落合良彦 18
 生活を通して得たもの、学んだもの   奥野真里 22
 障害をもつ人たちの学校教育において必要な配慮を考える   伊藤智佳子 26
 聴覚障害者と大学教育   永井紀世彦 30

冊子紹介「リハビリテ−ション」(417号)1999.10
  〔特集〕障害者の学校教育と受入体制
 大阪府立大学社会福祉学部における障害者特別選抜入試の試み   里見賢治 14
 四国学院大学・短期大学における障害をもつ学生の受け入れ体制   松岡克尚 18
 大学における障害者の受け入れ状況の現状と課題   殿岡 翼 22
 日本福祉大学における障害学生の受け入れと支援の取り組み   斎藤文夫 28

★冊子紹介「聴覚障害」54(10),1999<特集>聴覚活用
 聴覚活用一聴覚障害教育におけるその意義と課題  大沼直紀  4
 聴力検査法と実施上の留意点  両角五十夫  9
 補聴器フィッティング後の評価と教育オーディオロジーの基本的技能  立入 哉 15
 相互通話式集団補聴システムの使用について  田中瑞穂 20
 日本聾話学校の赤外線補聴システムの理念とその実際  加藤大典 25
 人工内耳一補聴器との比較を通して  中川辰男 31

【目次】



ホームページ紹介


【目次】



映画会
  大阪市が行う字幕付き映画会(対象:大阪市民)
  「ホーホケキョ・となりの山田くん」(日本語字幕付き)

1 事 業   1月こども名画座 映画「ホーホケキョ・となりの山田くん」
2 主 催   大阪市立こども文化センター
3 日 時   2000年1月22日(土)午後1時30分〜3時15分(開場1時)
4 内 容   映画「ホーホケキョ・となりの山田くん」(日本語字幕付き)
5 会 場   大阪市立こども文化センター
  地下鉄千日前線・長堀鶴見緑地線「西長堀」下車すぐ
6 対 象   市内在住の5歳以上のこどもと保護者 定員430名
7 参加費   無料(大阪市民が対象なので大阪市民以外は申込不可)
8 申 込   往復はがきに、(1)「となりの山田くん」希望、
  (2)参加希望者全員の氏名・年齢(1家族1通、1枚につき4人まで)
  (3)代表者の住所・電話番号を記入の上、下記まで。
  550-0014 西区北堀江4-2-9 大阪市立こども文化センター「となりの山田くん」係
9 締 切   1月10日(月)必着。多数者の場合,抽選(ろう者優先)。
10 照会先   大阪市立こども文化センター
  TEL:06−6531−5975 FAX:06−6531−1679

【目次】



作品募集
  第38回リハビリテーション懸賞作品募集
  課題【「共生社会」について考えてみよう】

 どんな健康の人でもいつかは年をとり、高齢になると何らかの障害が出ます。また、障害をもって生まれる方もありますし、不慮の事故あるいは病気になり、それに伴って障害をもつことになる人もいます。近年はますます高齢化が進み、障害をもつ人も増加すると思われます。障害をもつ人と健康な人が互いに支え合い、共に生きる『共生社会』を作ることが21世紀の大きな課題であると考えられています。「未来は今の自分の中にある」とも言われています。『共生社会』実現のために、あなたの体験や活動を通した、具体的で前向きな意見を募集します。

応募資格: 福祉に関心のある方
枚  数: 400字詰め用紙10枚。たて書き
別紙に住所・氏名(ふりがな付)性別・職業・年齢・電話番号・障害者の方は障害状況
募集締切: 2000年5月末(当日消印有効)
賞  金: 一位10万円 1編,二位5万円 1編,三位3万円 2編
そ の 他: 一人一編、未発表のもの。応募原稿は返却しません。
著作権は当協会に帰属します。なお匿名はお断りします。
原稿送付先: 〒102-0083 東京都千代田区麹町5−1
社会福祉法人 鉄道身障者協会 TEL:03-5276-0360 FAX:03-3264-4824

【目次】



研究助成
  松下視聴覚教育助成
  第26回実践研究助成・第6回研究開発助成の募集開始

★第26回実践研究助成
1.趣 旨
 学校教育および社会教育においては、一人ひとりのもつ能力・適性などを最大限に伸長し、より豊かな人間形成を図るために、教育内容および教育方法の改善・充実を図る必要があり、それには幅広く、かつ継続的な研究と実践が期待されます。そのために、<視聴覚メディア・情報メディアの効果的な活用及び教材開発>などに関する実践的研究を行う団体に対して当財団は助成を行います。

2.応募資格
学校教育− 学校(幼稚園・小学校・中学校・高等学校・特殊教育諸学校)
複数の学校にわたる教職員で構成された研究グループなど
その他,社会教育関連教育施設

3.一般研究とテーマ研究の2種を募集します。
◎ 一般研究:1年間を単位とした 自由課題による研究
◎ テーマ研究:2年間を単位とした 特定課題による研究
< 本年度の特定課題 >
「総合的な学習と情報コミュニケーションの相互作用に関する実践研究」

4.助成の概要
◎ 一般研究(約77件)1年間を単位とした実践研究に対し、最高70万円
◎ テーマ研究(約3件)2年間にわたる実践研究に対し、年間60万円×2年

5.応募受付期間
1999年12月1日 〜 2000年1月31日(消印有効)
応募要項・申請書は右に示すホームページからダウンロードできます。


★第6回 研究開発助成
1.趣 旨
 視聴覚教育の振興の一層の促進を期待し、教育実践研究を「深めて育てる」活動への支援を行います。「視聴覚メディアを活用してより豊かな人間性を育成する」研究 や「新しいメディア活用の方向性を示唆する」独創的な研究開発を助成します。教育現場、教育行政、教育研究、産業界の連携のはかれる研究を期待いたします。

2.応募資格:申請者を代表とする研究グループ、または、個人とします。
◇ 大学、短期大学、高等専門学校等の高等教育機関の研究者
◇ 教育研究所、教育センター等に常勤する指導主事、及びそれに準ずる者
  ※指導主事に準ずる人には、研修指導主事や社会教育主事を含みます。

3.本年度の研究(研究の内容・方法、特定課題)
(1) 新しい学習システムの開発  (3) メディアが人間・社会に与える効果
(2) メディアの新しい活用方法  (4) メディアと教育に関する基礎研究
  (5) その他
< 本年度の特定課題 >
T.「高等教育における新しいメディア利用研究」
U. 「新しいメディアの教育利用研究」

4.助成の概要 1件あたり100万円 × 約15件

5.応募受付期間
1999年12月1日 〜 2000年1月31日(消印有効)
応募要項・申請書は以下のホームページからダウンロードできます。

6.照会先 財団法人 松下視聴覚教育研究財団 http://www.mef.or.jp/
       〒140-8632 東京都品川区東品川4-5-15 マルチメディアセンター2階
       Tel:03−5460−2705 Fax:03−5460−2719


参考:ここ数年の聴覚障害関連機関の助成実績
すでに研究が終わっているものについてはその概要を上記ホームページから読むことができる。

・千葉県ろう教育研究会
 聴覚障害児(者)のための目で聴く音楽支援システムの開発
 〜見て楽しむ手話ミュージック カラオケに挑戦〜

・千葉県立千葉聾学校
 インターネットを用いた手話学習教材の開発

・東京都富士見台聴こえとことばの教室
 コンピュータソフトを活用した難聴乳幼児の早期療育のためのインタラクティブ・言語指導カリキュラムの構築 〜カリキュラムの個別的運用を促進するために〜

・愛媛県 川之江市立 妻鳥小学校
 聴覚障害児に対する情報補償の可能性を求めて

【目次】



機関誌より
  意見書を教育委員会に提出

 札幌市難聴児をもつ親の会会報「おたより113号」に札幌市教育委員会に提出された意見書が掲載されていました。最後の方の「身体障害者手帳の有無にかかわらず,医師や教師が必要と認めた場合には補聴器を支給していただきたい。」という要望項目なは,以前から声なき声として要望されていた事項ですが,全国的な高まりとなっておらず,「やむを得ない」「しょうがない」などと過ごしてきたような感じもします。親の会の関係者に伺ったところ,「作成する時間が短かったため,役員会が中心になって作らざるを得ず,これまでの活動の積み重ねの中からまとめられた意見というより,この内容をもとにさらに親の会内部での交流が必要な現状」とも伺いました。しかし,難聴学級の実態を鑑みて,この意見書が広く,そして的確に現状の問題点と課題を指摘していると思い,転載をお願いいたしました。「このような意見書を出せる」ということ自体が親の会の存在価値を示しています。親の会未組織の地域はもちろんですが,意見書の内容などぜひ参考にして欲しいと思います。
(HSKおたより113号より許可を得て転載)



 8月下旬,教育委員会から「札幌市の障害児教育のあり方や方向性等」について親の会の意見を求める手紙が届きました。短期間でしたが,会員の皆さんにはたくさんのご意見をいただきありがとうございました。提出した意見書の内容を皆さんにお知らせします。教育委員会への要望については,これからも教室毎の交流会や親の会の集まりの中で話し合いを深めていきたいと考えています。


札幌市の障害児教育に関する意見

札幌市難聴児をもつ親の会 会長 西田 敬

【特殊学級,通級指導教室,通常の学級,あるいはその他の教育環境の必要性】
○難聴教室の必要性について
 どんな子どもも地域の学校や社会の中で育てられていきます。難聴があればなおさら,健聴の子どもたちとかかわれる環境が必要であり,その中でコミュニケーション能力や社会性などが身についていくものです。そのためには,難聴というハンディキャップを軽滅するための様々な配慮が必要となり,子ども同士が相互に理解しあえるような教育的な働きかけも欠かせません。さらに,難聴がある子どもやその親に対する個別の指導や援助があることで,子どもや親が支えられ,子どもが地域の学校や社会のなかでよりよく生きることができます。
 私たちの願いは,子どもが幼児期から小中学生の期間を通して,身近なところで専門的な教育を受けられることです。そのための諸条件の整備をお願いいたします。

【障害児教育に関する地域社会と学校とのかかわり方(役割)について】
子どもが地域の学校や社会の中で生活していく上では,本人や家族の努力はもちろんですが,その子を取り巻く人々の理解も必要です。周りの理解が得られて初めて,難聴がありながらもその子らしく成長していけると思われます。
 私たちの願いは,幼稚園・小学校・中学校・高等学校の先生方が難聴という障害を理解し,その子に合った配慮をしていただくことです。そのための諸条件の整備をお願いいたします。
難聴の程度が異なっても,地域の学校や社会の中で生活していく上では,どの子も聞こえにくいというハンディキャップを持っています。軽度・中等度の難聴の子どもの中には,難聴教室の存在を知らず,教育的配慮も十分に受けていない子もいると考えられます。また,ことばや社会性の発達に大きな影響を及ぼす幼児期に,専門的な個別の指導や援助を受けていない子もいると考えられます。
 私たちの願いは,軽度・中等度の難聴がある子どもも必要な教育的配慮や援助を受けられることです。そのための諸条件の整備をお願いいたします。

【具体的な要望】
1.難聴教室の新設および通級指導教室への移行にかかわる件
○親子の通いやすい場所(居住する区内の交通利便地)に難聴教室を新設していただきたい。
例)  手稲区や南区から大通小学校の難聴教室への通級は大変に遠く,交通機関を利用して片道で1時間程度かかり通級が困難な状況がある。通いやすいところに難聴教室を新設していただきたい。厚別区や清田区から南郷小学校の難聴教室に通う場合も同様である。
例)  教室新設までの間,通級に伴う困難を軽減するための手立てを講じていただきたい。
○小学校卒業後も,これまでの通級校で引き続き,聴覚管理や相談などを受けられるようにしていただきたい。
例)  南郷小学校・元町小学校の難聴教室には中学校の難聴教室が併設されていないので,中学校に進学した後,指導が受けられない状況がある。両校に中学校の難聴教室を併設していただきたい。
○すべての難聴教室を通級指導教室に移行していただきたい。
例)  大通小学校に併設されている中央中学校の難聴特殊学級を通級指導教室に移行していただきたい。また,新設の難聴教室も通級指導教室として開設していただきたい。
○ 難聴教室の新設や改築等に際しては,遮音・防音効果が十分な施設設備としていただきたい。また,補聴器の性能向上に対応した最新の検査機器・測定機器を備えていただきたい。
2.「通扱による指導」や難聴児への指導・配慮などの啓発にかかわる件
○難聴教室の先生と担任の先生が連携を強められるように教育条件を整備していただきたい。
例) 難聴教室の先生がいつでも在学校を訪問して参観や指導などをできるように,一つの教室に複数の先生を配置していただきたい。
○ 難聴の児童生徒が在学する学校の校長先生や担任の先生などに対して,情報提供や研修の機会を設けていただきたい。
例)  1学期の遅くない時期に,担任の先生などを対象に,難聴児の指導や配慮に関する研修会を区毎などを単位に開催していただきたい。
例)  難聴児を担任する先生方同士が研修したり,経験を交流したりする場を設けていただきたい。
例)  中学校への難聴児の入学に際しては,難聴児の指導や配慮に関する必要な事項を学校全体の先生方が理解できるようにしていただきたい。
○すべての幼稚園・小学校・中学校・高等学校に,障害に関する理解を促すための教師用・児童生徒用の書籍やビデオなどを備えていただきたい。
例)  在学校の先生方や子どもたちが障害にかかわる理解を深めるために利用できるビデオや本を各学校に置いていただきたい。

3.在学校での情報保障にかかわる件
○通常の学級で学習し生活する上で,聞きとりやすい環境,理解できる手立てを整えていただきたい。
例)  通常の学級での騒音を減らして聞きとりやすい環境とするため,カーテンや床材,壁材などに響かない工夫をしていただきたい。
例)  放送を使用したテスト(中学校の英語科や国語科など)を行う場合は,別室で読話併用で行う等,子どもの状態に合わせた配慮をしていただきたい。
例)  あらかじめ話の内容が分かっている場合には,プリント等で事前に難聴児へ知らせていただきたい。
○教育テレビの学校放送番組をより理解しやすくするため,難聴児の在学する通常の学級で使用する文字放送デコーダを各学校へ貸与していただきたい。
例)  教育テレビ放送で字幕が付いている番組(小学校3年生4年生の理科・社会)を視聴している学級には,直ちに文字放送デコーダを貸与していただきたい。
○学校における授業等でビデオ教材を使用する場合は,字幕の付いた(付けた)ものを使用するようにしていただきたい。

4.軽度・中等度難聴の子どもの教育にかかわる件
○すべての幼稚園・小学校・中学校の養護教諭に対して,難聴や難聴教室の役割,機能について啓発をしていただきたい。
例)  毎年,小学校等で行われている聴力検査で難聴の疑いのある児童生徒に対して,通常の学級における教育的配慮および保護者に対する啓発が行えるよう,養護教諭に対して必要な情報提供や研修を行っていただきたい。
○1歳6か月児健診,3歳児健診時に難聴の疑いのある幼児の保護者に対して適切な情報提供が行えるよう,保健婦や相談担当者に対して必要な情報提供や研修を行っていただきたい。
○すべての耳鼻科医に対して,難聴教室の役割や機能について啓発をしていただきたい。
5.その他
○通級に伴う交通費の助成を拡充していただきたい。
例)  通級に付き添う親の交通費も補助の対象としていただきたい。
○福祉法に基づく難聴児への助成を拡充していただきたい。
例)  身体障害者手帳の有無にかかわらず,医師や教師が必要と認めた場合には補聴器を支給していただきたい。
例)  身体障害者手帳の等級による差をなくしていただきたい。必要を感じる対象者には等級にかかわらず助成していただきたい。
例)  文字放送デコーダやファックスは,医師や教師が必要と認めた場合には身体障害者手帳の等級に関係なく支給していただきたい。
例)  福祉の助成に該当する機器の中に携帯文字電話を含めていただきたい。

【目次】



自費出版
  「全国聾学校教職員名簿にみる聾学校のあゆみ」

 元平塚聾学校長の島正三先生の労作には「日本の聾学校T・U・V」がある。これは過去の聾学校学校数/聾学校教員数/聾学校教諭免許状取得者の状況などの資料が一覧できる冊子である。このたび,さらに昭和26年から平成11年までの在学者数・学級数・高等部の学科編成とその在籍者数などの膨大な資料を1冊にまとめられた。
 A4サイズ417ページという気が遠くなるようなデータから聾学校の趨勢や様々な動きを読む取ることができよう。データはエクセルで整理されたと伺った。冊子という形では15部しか作られていないと伺った。自分の学校のデータなど必要な部分があれば個別にご相談いただきたい。

    ご相談先:島正三先生(〒254−0052 平塚市平塚4−15−20)

【目次】



紹介
  補聴援助装置,改良と新発売

 「みみだより」345号にて紹介した振動式時計や,筆記文字通信システム,「ノックセンサー」「アラートマスター」といった製品を日本で販売している会社,テレボイス社から,従来から販売している「アラートマスター」の改良版と,難聴者用電話機「ジャンボ」の販売が開始されることがアナウンスされた。これに伴い,総合カタログも新しい物が用意されている。なお,本社の所在地が変わったので,郵便による照会の際はご注意を。

テレボイス総合カタログ
  潟eレボイス
  〒 150−0044
  渋谷区円山町25−5
   TEL:03−3476−2160
   FAX:03−3476−2425
  URL www.televoice.co.jp

 なお、テレボイス社で扱っている機器は、厚生省による日常生活用具「聴覚障害者用屋内信号装置」に指定されている。給付については、各福祉窓口にご相談を。

 参照
  みみだより350号
     mimi350.html#TELEVOICE
  みみだより359号
     mimi359.html#ECOT

★「アラートマスター」改良版 発売
 アラートマスターは、親機に接続した強力なベッドシェーカー(振動子)と電気スタンドにより、電話(FAX)の着信、目覚まし時計、玄関への来訪者、赤ちゃんの泣き声、火災報知器、赤外線感知(侵入者探知用)を知らせるもの。
 ベッドシェーカー(振動子)は、各センサーからの信号を受けるとセンサーごとに異なるリズムで強力に振動することで、寝ている人を目覚めさせる。親機と、携帯型バイブレータ、子機、各センサーとの間はFM電波でつながれているので、設置の手間が少なくて済む。無線の到達距離は見通しで約25mで、子機、携帯型バイブレータは何台でも増設が可能となっている。
 今回の改良では,まずは機器上の標記が従来製品は英語だったが,改良型からすべて日本語化された。その他,夜間留守にしていてもアラートマスターに接続した電気スタンドなどが夕方から深夜にかけて自動的に点灯するセフティー機能などが新たに追加された。

写真:アラートマスター親機、
   ドアベル、ベッドシェーカー。
 (信号着信を知らせるための電
  気スタンドはアラートマスター
  には含まれません)

 アラートマスター親機
            51,000円
  必要に応じて各種センサー
 を購入する センサー1ヶの
 価格は,12,500〜18,500円。
  その他,各種オプションが
  ある。
アラートマスター親機


★難聴者用電話機「ジャンボ JV−35」新発売  1台 29,800円

ジャンボ JV−35
 日本で市販されている誘導コイル内蔵受話器付き電話機には以下の2製品が使われてきた。

 NTT ハウディ優U
 ソニー IT−G1000

 しかし,さらに音量が欲しい人や外部出力端子などが必要な場合は対応できなかった。

 この「ジャンボ」は,今までの電話機では満足できなかった人を満足させられる機能がついている。もちろん,「誘導コイル内蔵」である。そして,「外部出力端子」が付いている! このため,@シルエットコイル、ポケットコイルやネックループやFMマイクなどが接続できる。Aこの接続機能を使えば,電話の声を両耳の耳かけ形補聴器で聞くことができる。B人工内耳のスピーチプロセッサと直結できる可能。その他,音量の増幅(最大28dB),音質の調節が可能,着信時,ランプが点滅して知らせてくれる。弱視者にも優しい機能も含まれており,どのボタンを押したかを録音した自分の声で確認するという機能もある。
 人工内耳スピーチプロセッサとの接続については,電話機の製造元であるAmerip-hone社で、製造に際して Cochlear社とAdvanced Bionics Corp.の2社とは事前に協議済みという。

参考:みみだより355号
※「誘導コイル内蔵受話器付き」とは、補聴器に[T]スイッチがある補聴器で、電話の声を聞く場合に役立つ誘電コイルが内蔵された受話器のこと。補聴器を付けたままで電話での会話ができるという利点のほか、ノイズの少ない音声で聞き取ることが可能である。

【目次】



研究会開催
  第3回「周波数圧縮変換式補聴器(インパクト)」
                    臨床検討会のご案内

1.日時: 12月11日(第2土曜日)午前10時から午後4時まで
  前号で午前9時と誤記をいたしました。正しくは,午前10時開始(9:30受付開始)
2.場所: 味覚糖UHA館
大阪市中央区神崎町4-12 TEL:06-6767-6040 FAX:06-6767-6043
地下鉄 鶴見緑地線 松屋町駅下車A出口より徒歩2分
3.プログラム
    司会:高橋信雄(愛媛大学)
    10:00〜10:10  挨 拶
    10:10〜10:30  インパクトの動作原理
    10:30〜11:00  インパクトのフィッティングの現状と課題
    11:00〜14:00  臨床検討1(幼児)
 岡山かなりや学園
 川崎市立中部地域療育センター
 京都府立ろう学校
 長崎大学医学部

 村上たか子先生(予定)
 細矢義伸先生
 神田幸彦先生
    12:00〜13:00  昼休み
    14:00〜14:20  人工内耳システム紹介(日本コクレア社)
    14:20〜14:40  休 憩
    14:40〜15:40  臨床検討2(成人・高校生)
 大阪市立聾学校
 愛媛大学教育学部
 中瀬浩一
 山本 誠
    15:40〜16:00  まとめと今後の検討課題
 なお、プログラムの一部が変更になる場合があります。

 参加ご希望の方は,愛媛大学教育学部聴覚言語障害研究室(TEL:089-927-9514)か,
ダナジャパン大和研究所(担当 深見か杉浦 TEL:0462-60-3300 FAX:0462-60-3310)へ
お申し込み下さい。

 味覚糖UHA館案内図
味覚糖UHA館案内図 ←クリックすると拡大図が得られます。

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