2005年1月24日発行(第2・4月曜日発行)

News Source of Educational Audiology

聴能情報誌  みみだより  第3巻  第488号  通巻573号


編集・発行人:みみだより会、立入 哉 〒790−0833 愛媛県松山市祝谷5丁目2−25 FAX:089-946-5211
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立入 哉 :h-tachi@js2.so-net.ne.jp


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【目次】第488号

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お わ び

長らくご愛読いただいた「みみだより」ですが,編集者の海外研修のため2月をもって,しばらく【休刊】とさせていただきたく思っております。お預かりしている購読料が2005年2〜3月分残っております。ご返金のための手数料を考えますと余りに無駄ですので,勝手ながら2006年2〜3月分としてそのままお預け下さり,復刊後の「みみだより」を引き続きお届けします。もしご返金ご希望の場合は,2月18日までにその旨,ファックスまたはメールにてご連絡をお願い申し上げます。お申し出のなかった場合は自動的に来年までお預かりさせていただきます。なお2006年4月以降の継続は白紙状態で,この件も購読料お預けの方には追ってご連絡申し上げます。

【目次】




図書紹介
  補 聴 器 ハ ン ド ブ ッ ク

補聴器ハンドブック
「補聴器関連の良き教科書がない」といつも思っていた。英語であったり,日本語の物は片寄っていたり,古かったり,用語の説明が不十分だったり・・・。そうした悩みを解決してくれる良書の翻訳本が出た。
オーストラリアの国立音響研究所,主任オーディオロジスト Harvey Dillon博士の著である「Hearing Aids」の完訳版である。
オーストラリアの国立音響研究所(NationalAcoustic Laboratories)は,仮選択法として有名なNAL法を提案した研究所であり,音響研究所という名前であっても実は補聴器専門の研究所として有名である。
原書のタイトル「Hearing Aids」の通り,本書は,補聴器に関する仕組みから補聴援助システムまで幅広く補聴器を扱った名著と言える。

本書は下記の目次構成になっている。

目次
第1章 補聴器を理解するために
第2章 補聴器構成部品
第3章 補聴器システム
第4章 電気音響的性能と測定
第5章 イヤモールド,イヤシェル,カプリングシステム
第6章 補聴器に使用される圧縮システム
第7章 補聴器の信号処理方式
第8章 補聴器装用候補者についての評価
第9章 補聴器の処方
第10章 補聴器の選択と調整
第11章 補聴器の微調整とトラブルシューティング
第12章 新規補聴器装用者へのカウンセリング
第13章 聴覚リハビリテーション効果を評価するために
第14章 両耳装用とフィッティング
第15章 小児特有の装用上の課題
第16章 CROS補聴器・骨導補聴器・埋め込み補聴器

まず本書で驚かされることは出版が2001年であるが十分に「新しい」ことである。例えば,世界的に標準な用語,REUG,REIG,REAGに触れているが,これらの用語や,関連してRECD,REDDなどここ最近の乳幼児への補聴器フィッティングでは欠かせない用語をおそらく日本語の成書として初めて紹介している。1冊で補聴器の「端から端まで」の解説を試みているために,時として説明不足の感がある。補聴器初心者にはとっつきにくい内容も多いが,実際に補聴器調整にあたっている者の視点で,必要な部分に必要なページを割き,さらっと流すべき内容は凝縮されて編集がなされており,すくなくとも,既に日本で販売されている成書に比べ,明らかに,どこに重点を置いて解説をするべきかという点で納得できる編集となっている。
例えば,陳腐な仮選択法に始まるのではなく,ノンリニア補聴器を前提として,圧縮回路の説明にページを割いている。ノンリニア補聴器の解説の後に,付け足しのようにリニア補聴器について触れているという感じである。小児の補聴器の章でも,積極的にFMについて記述し,その効果を述べている。しかし,残念なことに,ファンクショナルゲインの考え方には触れておらず,乳幼児の補聴器フィッティングの目標を,あたかも仮選択法の結果に沿わせることであるかのように書かれており,悔やまれる。とはいえ,例えば,最大出力設定の計算式的な設定方法を示しつつ,やはりラウドネスの測定による設定の利点を述べるなど,著書の苦労の跡がしのばれる。指向性マイクロホン,騒音抑制など最近のデジタル補聴器の機能についても解説がなされているし,かつ周波数圧縮変換などの手法にも言及し,その利点と課題をすっきりとまとめ上げられている。

これから補聴器を学ぼうとする人にはややハードルが高いかも知れない。それは訳書の限界で,原書にない注釈や解説を加えることはできないので,日本の成書とのギャップがありすぎ,途中が埋められないからだ。しかし,それだけに,もう少し求めている補聴器を専門としたい者,本書の内容がある程度理解できる者と一緒に本書を教科書として学んでいく者にとって,また補聴器関連の最新情報を理解したいと思う者にとって,本書は欠かすことができない一冊であることは間違いない。

★補聴器ハンドブック
Harvey Dillon著,中川雅文監訳
医歯薬出版,ISBN:4-263-21219-3,定価 8,400円

詳しくは,医歯薬出版 http://www.ishiyaku.co.jp/ から検索を。このサイトにも通信販売の方法が掲載されているが,手数料が追加される。http://www.Amazon.co.jp の方が,手数料,送料が無料で入手できるので,おすすめ。

【目次】




援助します
  障害者関連諸項目の援助 ・ 倶進会

[実施機関] 財団法人 倶進会
[助成内容]
■事業・活動 <1件30万円〜100万円>
 [1] 身体障害などの理由により困難な状況にある幼児・若年者の順調な育成・教育の支援
 [2] 社会的,家庭的事情により一般の教育施設での教育を受けられないものに対する教育の支援
 [3] 市民,特に若年者の健全な社会的生活に必要な各種の啓蒙活動や支援
 [4] 障害者・老齢者・各種施設居住者の諸活動の支援
 [5] 障害者・老年者や更正施設の人たちに対する芸術的慰問
■研究
 [1] 事業・活動の各項目に関する研究
  1)個人またはグループによる研究 <1件50万円〜100万円>
  2)大学院生(個人)による研究 <1件30万円以内>
 [2] 大学の教育と研究のユニークな新構想に関する研究(個人でも可)<1件50万円〜>
■ 設備・備品購入 <1件200万円以内>
 [1] 学校やその他の教育施設における身障者の学習を援助する機器や備品の購入
 [2] 事業・活動の各項目に関連して必要な備品の購入や施設の整備
■ 会議の開催・参加
 [1] 事業・活動の各項目に関連する海外での会議・シンポジュウムへの参加<1件30万円以内>
 [2] 事業・活動の各項目に関連する会議・シンポジュウムの国内での開催<1件100万円以内>

[対象分野]
  公私の教育事業,福祉事業や社会事業が他にも多くすすめられており,また,それら
 の活動に対しては大財団による助成が提供されています。従って小規模,小財源の本会
 としては,有意義でありながらこれらの助成事業の対象からはもれるような活動を主と
 して取り上げます。

[申請資格]
  実際に日本国内で活動あるいは研究に従事している団体ないし個人あるいはグループ。

[公募期間]
  2004年12月20日〜2005年4月4日

[詳細]
  下記に助成の条件などの詳細の要項,申請用紙,過去の助成対象などが載っています。
  http://www.gushinkai.com/jyosei/index.html

【目次】




研究会開催
 徳島補聴研究会 年度末特別講演会

徳島補聴研究会年度末特別講演会

演題 聴覚口話法と言語指導
講師 上越教育大学教授 我妻敏博先生

1.日 時  2005年3月6日(日)12:30〜17:00
2.会 場  ふれあい健康館 2F 第2会議室
       場所=〒770-8053 徳島市沖浜東2丁目16番地
3.日 程  12:00〜12:30 受 付
       12:30〜14:30 補聴器展示・各社補聴器の紹介
       14:30〜16:00 開会の挨拶・特別講演会
       16:00〜17:00 謝辞・閉会
4.主 催  徳島補聴研究会
5.後 援  徳島県耳鼻咽喉科医会
6.参加費  無料
7.照会先  徳島県立聾学校 相澤浩樹
       TEL:088-652-8594 FAX:088-655-3497

【目次】




関連領域新刊図書

■障害児保育:(保育ライブラリ 保育の内容・方法を知る)
 渡部信一・本郷一夫・無藤隆編著 1995円 北大路書房 4-7628-2418-6

■失語症:そして笑顔の明日へ
 小薗真知子著 1500円 熊本日日新聞社 4-87755-193-X

■高次脳機能障害のリハビリテーション
 Johnstone&Stonnington編 松岡恵子他訳 4725円 新興医学出版社 4-88002-475-9

■広汎性発達障害の子どもたち:高機能自閉症・アスペルガー症候群を知るために
 辻井正次著 1680円 ブレーン出版 4-89242-758-6

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関連学会・研究会誌Contents

★ろう教育科学 46(3)2004
 「人工内耳装用児の発音技能の推移(続報)」板橋安人 109-134

★小児耳鼻咽喉科 25(2)2004
 「当院におけるダウン症児の聴覚管理について」留守幸,他 35-39
 「乳幼児聴力検査の適応年齢に関する一考察」斉藤真純,他 40-45
 「認知能力の個人内差が人工内耳装用後の言語発達に及ぼした影響」川崎聡大他 46-50
 「発達障害を伴う言語習得期前難聴児における人工内耳装用後の経過」山本恵美他 51-55
 「インドネシアに於ける難聴者支援」鈴木淳一 60-63

★リハビリテーション 2004(12)469
 「デンマークの障害児教育とインクルージョン」片岡豊 30-34

★聴覚研究会資料 34(8)2004
 「ビギナーズレクチャー:聴覚を知って補聴器を作る」鈴木陽一 533-536
 「ポスター発表:移動音源を用いたデジタル補聴器の適応型指向性マイクロホンに対す
  る音響学的検討」岩崎紀子,白石君男 567-572

★Hearing 25(3)2004
「Effects of Spectre-Temporal Asynchrony in Auditory and Auditory-Visual Speech Processing」
 Ken W. Grant, Ph.D., Steven Greenberg, Ph.D., David Poeppel, Ph.D., and Virginie van
 Wassenhove, Ph.D. 241-256
「The Ears of the Deaf Unstopped: Changes Associated with Cochlear Implantation」
 Ann E. Geers, Ph.D. 257-268
「New Approaches to Understanding the Human Brain:Three Theoretical Models and a Test
 Battery」Judith L. Lauter, Ph.D. 269-280

★Hearing 25(4)2004
Early Detection of Hearing Loss: Maintaining a Family-Centered Perspective
 Marilyn Sass-Lehrer, Ph.D. 295-308
Family-Centered Audiologic Assessment for Infants and Young Children with Hearing Loss
 Judith S. Gravel, Ph.D., and Cristen C. McCaughey, M.S. 309-318
「Stories of Origin in the Identification of Hearing Loss among Neonates」
 Dana Kovarsky, Ph.D., Ellen Kurtzer-White, Au.D.,and Madeline Maxwell, Ph.D. 319-332
「When Hearing Loss Occurs with Multiple Disabilities」Jackson Roush, Ph.D.,
 Meredith A. Holcomb, B.A., Patricia A. Roush, MA.,and Maria Luisa Escolar, M.D. 333-345

★AUDIOLOGY 12(2)2003
「Internet Application to Tele-Audiology "Nothing" but"Not"」
 Gregg D. Givens and Saravanan Elangovan 59-65
「Doctor of Audiology Program at the University of Florida」
 Alice E. Holmes and Scott K. Griffiths 66-70
「Ball State University's AuD Degree」
 Thomas F. Hemeyer, David J. Coffin, and Claudia D. Updike 71-75
「Audiological Assessment, Rehabilitation, and Spatial Hearing Considerations Associated With
 Visual Impairment in Adults:An Overview」Judith T. Blumsack 76-83
Predicted Gain and Functional Gain With Transcranial Routing of Signal Completely-in-the-
 Canal Hearing Aids」Marc A. Fagelson, Colleen M. Noe, Owen D. Murnane, and Jennifer S.
 Blevins 84-90
「The Prediction of Hearing Loss in Persons With Cerebral Palsy Using Contralateral Acoustic
 Reflex Threshold for Broad-Band Noise」Michele B. Emmer and Shlomo Silman 91-95
「Effects of Noise and Reverberation on the Precedence Effect in Listeners With Normal Hearing
 and Impaired Hearing」Richard A. Roberts, Janet Koehnke, and Joan Besing 96-105
Evaluating the Benefit of Speech Recoding Hearing Aids in Children
 Denise R. Miller-Hansen, Peggy B. Nelson, Judith E. Widen, and Stephen D, Simon 106-113
Speech Perception Benefits From Sound Field FM Amplification
 Lisa Lucks Mendel, Richard A. Roberts, and Julie H. Walton 114-124
「Estimation of Hearing Loss in Children: Comparison of Auditory Steady-State Response,
 Auditory Brainstem Response, and Behavioral Test Methods」
 Melissa Payne Stueve and CarolAnn O'Rourke 125-136
「Older Adult Performance on an Altered Version of the SSI Test」Nancy L. Aarts, Elizabeth M.
 Adams, and Kathy R. Duncan 137-145

★EAR and HEARING 2004(25)5
Better Speech Perception in Noise With an Assistive Multimicrophone Array for Hearing Aids
 Heleen Luts, Jean-Baptiste Maj, Wim Soede, and Jan Wouters 411-420
「Wideband Reflectance Measures of the Ipsilateral Acoustic Stapedius Reflex Threshold」
 M. Patrick Feeney, Douglas H. Keefe, and Chris A. Sanford 421-430
「Sensitivity and Specificity of Averaged Electrode Voltage Measures in Cochlear Implant
 Recipients」Michelle L Hughes, Carolyn J. Brown, and Paul J. Abbas 431-446
「Toward a Battery of Behavioral and Objective Measures to Achieve Optimal Cochlear Implant
 Stimulation Levels in Children」
 Karen A. Gordon, Blake C. Papsln, and Robert V. Harrison 447-463
「Short- and Long-Term Outcomes of Adult Audiological Rehabilitation」Theresa Hnath Chisolm,
 Harvey B. Abrams, and Rachel McArdle 464-477
「New Version of the TEN Test With Calibrations in dB HL」Brian C. J. Moore, Brian R. Glasberg,
 and Michael A. Stone 478-487
「Sensitivity to Interaural Level and Envelope Time Differences of Two Bilateral Cochlear Implant
 Listeners Using Clinical Sound Processors」Bernhard Laback, Stefan-Marcel Pok, Wolf-Dieter
 Beumngartner, WernerA. Deutsch, and Karin Schmid 488-500
「Effects of Speech Processing Strategy on Chinese Tone Recognition by Nucleus-24 Cochlear
 Implant Users」Qian-Jie Fu, Chuan-Jen Hsu, and Mei-Ji Horng 501-508

★DEAFNESS&EDUCATION INTERNATIONAL 6(3)2004
「Building pretend play skills in toddlers with and without hearing loss: Maternal scaffolding
 styles」P Margaret Brown, Maria D Remine 129-153
The effects of degree and type of hearing loss on children's performance in class
 Tova Most 154-166
「Hand in hand: progression routes in British Sign Language in the KS5 curriculum」
 Henriette Harnisch, Craig Smith, Kristiaan Dekesel 167-170
「Summary: Teaching strategies used to develop short-term memory in deaf children」
 Isabel Gibson 171-172

★ANNANS OF THE DEAF 2004(149)3
「Applying Critical Thinking Skills to Character Education and Values Clarification With
 Students Who Are Deaf or Hard of Hearing」255-263
「Factors Involved in the Ineffective Dissemination of Sexuality Information to Individuals Who
 Are Deaf or Hard of Hearing」264-273
「Deaf Children in Regular Classrooms: A Sociocultural Approach to a Brazilian Experience」
 274-280
「Comparing Motor Development of Deaf Children of Deaf Parents and Deaf Children of
 Hearing Parents」281-289

★Journal of the American Academy of Audiology 15(7)2004
「Subtitled Videos and Mismatch Negativity(MMN)Investions of Spoken Word Processing」
 Chatharine M. Pettigrew, Bruce E. Murdoch, Curtis W. Ponton, Joseph Kei, Helen J. Chenery,
 and Paavo Alku 469-485
「Rebisiting Loudness MEasures in CHildren Using a Computer Method of Cross-Modality
 Matching(CMM)」Yula Cherpelis Serpanos and Judith S. Gravel 486-497
「Limiting High-Frequency Hearing Aid Gain in Listerners with and without Suspected Cochlear
 Dead Regions」Carol Mackersie, Tracy L. Crocker, and Rebecca A. Davis 498-507
Speech Intelligibility of Young School-Aged Children in the Presence of Real-Life Classroom
 Noise」Dnald G. Jamieson, Garry Kranjc, Karen Yu, and William E. Hodgetts 508-517
「ERP Evidence of a Dichotic Left-Ear Deficit in Some Dyslexic Children」
 Deborah Moncreiff, James Jerger, Ilse Wambaco, Ralf Greenwald, and Jeffrey Black 518-534

★Interunational Jounal of Audiology 43(8)2004
「Psychometric evaluation of children with suspected auditory processing disorders (APDs)
 using a parent-answered survey」
 Hartmut Meister, Hasso von Wedel and Martin Walger 431-437
「Effects of interferon-α2b on hearing」Irfan Kaygusuz, Turkkan Oztiirk Kaygusuz, Ahmet
 Ozturk, Siileyman Sirn Kilic, Turgut Karlidag, Erol Keles and Sinasi Yalgin 438-441
「Supplementary formulas and tables for calculating and interconverting speech recognition
 scores in transformed arcsine units」Robert L Sherbecoe and Gerald A. Studebaker 442-448
「Non-organic hearing loss redefined: understanding, categorizing and managing non-organic
 behaviour」Sally Austen and Catherine Lynch 449-457
「The protective role of tiopronin in cisplatin ototoxicity in Wistar rats」Anna Rita Fetoni, Nicola
 Quaranta, Raffaella Marchese, Gabriella Cadoni, Gaetano Paludetti and Bruno Sergi 465-470
「Hearing assessment by recording multiple auditory steady-state responses: the influence of test
 duration」Heleen Luts and Jan Wouters 471-479
「Multiple-channel non-linear power hearing instruments for children with severe hearing
 impairment: long-term follow-up」Mark C. Flynn, Paul B. Davis and Randi Pogash 479-485
「The prevalence and causes of hearing impairment in Oman: a community-based cross-sectional
 study」Mazin Al Khabori and Rajiv Khandekar 486-492

★THE HEARING JOUNAL 2004(57)10
「PAGE TEN: The Speech Intelligibility Index: What is it and what's it for?」
 Benjamin W. Y. Hornsby 10-29
「Lessons from other fields can help audiology complete transformatioi」
 James G. Anderson andJudith Nemes 30-33
「Using the 1000-Hz probe tone to measure immittance in infants」
 Johannes Lantz, Michelle Petrak, and Laura Prigge 34-43
「Vent is designed to reduce occlusion effect while preserving gain」
 Charlotte Thunberg jespersen and Jennifer Groth 44-47

【目次】



A cochlear implant user's guide to assistive devices and telephones(概訳)
By Angela Wieker and Linn Tearney From The Hearing Journal 57(11)20-26

編集者の注)補聴援助システムが人工内耳装用上の問題をいかに解決するかということについて,人工内耳の効果を高めることができた人工内耳ユーザー自身が紹介することが有用だと思います。最初の著者は人工内耳と補聴援助システムの応用について,二番目の著者は彼女の個人的な経験ですが,電話コミュニケーションに関連して書いてくれました。

Wieke)私は私の人生の中で,補聴機器による大きな効果を得ていない日はない。私は7年前に人工内耳を装用したがその人工内耳だけでなく,人工内耳ユーザーが利用できる補聴援助システムについても考えています。私がNucleus24人工内耳の装用後、私は私の人工内耳は私が望むことすべてを満たしてきたと思います。補聴援助システムを使うことでより良く聞くことができる,特に騒音の中では効果があると聞いておきながら,私は最後に納得するまで,補聴援助システムを使ったらいいとの提案を否定してきました。私は,オーディオロジストが、使用可能な絶えず発展する技術を,人工内耳ユーザーに利用するよう奨励することを願っています。 Tearney)騒音下で聞くということに加えて、電話コミュニケーションは、別の重要な挑戦です。つい最近まで、「情報スーパーハイウェイ」と聞きながらも,私はその道の横でどうしようもなく立っているままでした。私の進行性難聴が進み,会話を理解することが難しくなりました。特に話者の顔を見ることができないときは余計に難しかった。私はもう12年間もN22を使用しているので、私は、うまく行く様々な装置を試すことができ,その経験から学ぶことができました。
現代社会,即時コミュニケーションが必要な今,彼らが電話を使用できないなら、重度聴覚障害者にとって雇用世界で競争する上で難しさがあります。もちろん,文字電話(TTYs)やリレーサービスといったアクセス手段がありますが,これらのサービスはいつも平等な競争条件を提供しているとは言えません。
 
多くの人工内耳ユーザーは読話なしで会話を理解できます。人工内耳ユーザーは練習と,正しい電話を選ぶことで,目標に近づくことを容易にし,コミュニケーションと人生をドラマティックに広げることができるでしょう。

シンボルマーク
Improving Listening in Noise
雑音下においてきこえを向上させるためのいくつかの方法があります。その中にはダイレクトオーディオインプット(外部入力)があり,直接 人工内耳と電気的に他のもの,聞きたいものとつないであげる,ダイレクトにインプットしてあげる方法,それにFM,ループいわゆる磁気ループ,それからサウンドフィールドシステム(音場増幅システム)が比較的有名です。
図1のシンボルマークはその場所において,さっきあげたようなシステムのどれかが使えるということを示しているサインです。
次に,人工内耳のユーザーはいろいろなものを使えるわけですが,すべての人工内耳にとって,FMシステムとか赤外線システムというものが,人工内耳の磁気コイルを経由して信号を入れるという方法で使うことができます。また,非常によく接合できるようなシステムでは特別な回路や特別なコードを必要とせず人工内耳と接続できるシステムもあります。

Direct audio input
外部入力。信号からの距離,あるいは音源によってSN比を向上させる方法として,最も簡単な方法は音源に直接接続する方法です。人工内耳と,ある音源,つまり,CDプレーヤやテレビその他の音響機器から音を受け取るためのオプションというものを人工内耳は備えています。そのときに,人工内耳自身のマイクロフォンと併用するとかしないとかの方法があります。

FM systems
FMシステムは,背景雑音があるような環境で聞こえの困難さというものを,うまく向上させるためにたいへん大きな選択肢となりうるものです。FMシステムはマイクロホンと送信機,つまり話者がつけるマイクロホンと送信機,それからユーザーさんがつける受信機とで構成されています。FMマイクでとらえられた音信号をラジオの周波数信号として送信して,そして受信機で同じ周波数,あるいは同じチャンネルで受信をするというものです。FMシステムを使うことによってSNRを非常に向上させることができ,その結果バックグラウンドノイズ,話者とユーザーの間に存在する背景雑音があるにもかかわらず,話者の声を明瞭に聞き,理解することができます。このFMシステムを使うことによって,25デシベルの効果があります。
FM system
最新のNucluesのエスプリ3Gは図2に示してあるように,ワイヤレスつまりワイヤーがないという意味ですが,FMの受信機とスピーチプロセッサをコードとか線でつながないで接続できる唯一のスピーチプロセッサです。その他のスピーチプロセッサというのは特別なパッチケーブルを必要として,そのケーブルで図3のようにスピーチプロセッサとFMシステムとを接続する必要があります。FMのメーカーはそうした専用のパッチケーブルというものをそれぞれ用意しています。人工内耳のユーザーさんは,送信機や受信機といったものについて,いろいろと選ぶことができるようになっています。それは,個人のスピーチプロセッサの形状や,ユーザーさんのニーズに合わせてそういったものをどうするか議論する必要があります。

FM system
FM system
ノイズのあるレストランや,社会交流の場,会議場など,あるいは車の中でさえも,車の中にいるとエンジンノイズがあがってくるから,そういうところでさえもFMシステムから絶大なる効果を受けています。教室の中や,さらにスポーツをするときでさえもFMシステムを使っている子どもを私は知っています。監督が送信機を持ち,人工内耳をつけている子どもが運動場で受信機をつけていると,コーチがみんなに何を呼びかけているか(エールをおくっているか)を聞くことができます。もう一つのFMシステムの利点として,部屋から部屋に信号を伝送するとうことで,そのときに,距離が離れることによって,音質が落ちることがないという効果がFMシステムにはあります。これは,人工内耳のユーザーさんが別の部屋からの要求を聞き,居ながらにして会話を続けることを可能にします。

Induction loop systems
インダクションループシステム(磁気誘導ループシステム)。磁気ループシステムというのはSN比の向上,音をクリアな状態で人工内耳のユーザーさんに届けることができるもうひとつの援助手段です。磁気ループシステムというのはループを敷設したエリア,会場や場所に環状に巻いたケーブルをおき,そこに電気信号を送るということです。FMシステムと同じように話者はマイクロホンを持ちますが,信号は磁気誘導の原理によって,環状に敷設したケーブルから受けとります。人工内耳のユーザーさんはテレコイルの機能を使って信号を受け取ることができます。これは,普通の補聴器と同じように人工内耳にもMとTというポジションがあって,Tポジションにするとループからの音が取れるようなオプションがあります。それを使うということです。
ループシステムには二つの代表的なタイプがあり,一つは広範囲に使用するもの,もうひとつは個人的に使用するものです。広範囲の方は例えば,講演会の会場のように通常の講演会でやっているような,演者の声が大きくなってスピーカから出力されるものです。教会や映画館,会議場などで広く使われています。良い音質のためには,常に部屋に設置されていることが望ましいですが,運搬可能なものもあります。
次に個人的なループシステムです。首に円状のものをかけたり,耳にループ(シルエットインダクタ)を付けて,使用する磁気ループシステムがあります。電磁信号をユーザーがつけているテレコイルを通して,拾い上げるわけです。携帯電話からの音や,箱形のFM受信機や赤外線受信機からの音を,人工内耳に接続するために,このような個人用のループシステムを併用することがあります。このような頭部に装着する磁気ループシステムで,耳かけ形プロセッサに対応するHITISというものがあります。これを使うと,ハンズフリーで携帯電話に応じることができ,それだけでなくコードレス電話や有線電話にも対応しています。これは非常に愛すべきシステムです。このシステムの利用によって,空港やレストランなどの騒々しい環境の中で,音をクリアに聞くことができ,電話での会話が可能になっています。

Infrared systems
赤外線システム。これはループシステムに似たようなものですが,要するに雑音を減少させるものです。必要な信号をマイクロホンでキャッチし,それを赤外線に乗せて目に見えない光として音を送信するものです。その信号を赤外線受信機を装着した人工内耳のユーザーがキャッチし,タイループあるいはヘッドホン,または外部入力端子を通じて接続ケーブルによって信号を受けるようになっています。このシステムは,特定の部屋でしか使えません。その信号は,丁度目で見えるような状況でしか電送されないので,外の部屋には漏れないわけです。ただ,これは目視できるような状況でしか使用できないので,時折,死角(デッドエリア)ができてしまいます。このシステムの場合には,受信に適した場所はどこかを探す必要があるかもしれません。ループは磁気信号を使っているので,隣や上下の会に漏れることがあります。しかし,赤外線の場合は壁などで遮断されれば絶対に外には漏れないわけです。

Sound field systems
次は,サウンドフィールドシステムです。これは通常,ワイヤレスのマイクロホンを使って,音をスピーカに出すものです。スピーカは,教室や家に置いてあって,そのスピーカに対してワイヤレスのマイクロホンから音を送るようになっています。いくつかの音場増幅システムというのは,移動が可能なスピーカを使用し,持ち運びが可能なように設計されています。これらのシステムはだいたい10〜15デシベルくらいの効果があるということです。このシステムは他のものに比べるとSN比はそう向上できないけれども,FMシステムや赤外線システムよりも,うまく動作しないときに簡単に動作を正常化することができるというメリットがあります。

Telepone Options
人工内耳のユーザーの間でも,最近はよく電話が使われるようになってきました。これは多くの人工内耳のユーザーさんの聞こえのレベルが,かなり正常といわれているようなレベルに近くなってきているということです。人工内耳のユーザーさんが耳だけで会話の識別ができると感じられたなら,電話に役立つ機器の練習をはじめてみませんか。

Landline phones
人工内耳のプロセッサがどのタイプであっても,電話からの信号を直接接続することができます。あるいは,人工内耳自体のマイクロホンを使わずに,直接受けることができます。いくつかの人工内耳の会社は電話をするためのアクセサリーキットを販売しているます。それらは聴覚障害者のための製品として,販売店から入手できます。多くのユーザーは,補聴器に対して標準的に用意されたのと同じテレコイルの機能を使用することができます。合衆国の通信を管轄する役所,通信委員会(FCC)はすべての固定電話機の受話器は,聞こえのための磁気誘導をするコイルを装備しなければならないと定めています。そのことによって,電話からの音を直接聞くことができるようになっています。磁気コイルからの出力は,標準化されているものではないが接続の基準というものがきちんとなされています。しかし,出力が標準化されておらず,器種によって出力が異なるので,ユーザーは自分に合う良い電話機を選ぶ必要があります。
それから,人工内耳のユーザーは,特別な電話を使うということもできます。たとえば,音質調整をすることによって,会話の弁別力をあげられるわけです。ある特定の周波数の音を上げたり下げたりできる機能がついている電話,このような電話はテレコイルユーザーにとって必要な非常につよい磁気信号を出すようになっています。他にも,スピーカホン,つまり電話の声がスピーカーから出るようになっていたり,外部入力端子を備えていて,タイループやテレコイルのアクセサリーをつなげられたり,電話が鳴ったときに視覚的な信号に代えてくれる機能が入った特殊な電話があります。
ビジネスホン,つまり会社などでの電話は特殊なものを使っていることがあるので注意が必要ということです。それから,コードレスホンです。家の中で使うようなコードレスホンを買う場合には,デジタルとアナログとがあるので,できればアナログの方が音質がいいのです。それは送信するときのスペクトラムの問題で,アナログの方が良くテレコイルを使えるようです。

Cellular phone
携帯電話については,人工内耳のユーザーさんは使えるかどうか考えるべき点があります。電気磁気的な影響を受けにくいものを販売店で,良く選ぶ必要があり,いろいろな機種を試してみることが必要です。また干渉によってノイズが生じ,携帯電話が使いにくくなりますから,そういうことを最小限に抑えられる機種を選んで下さい。殆どの携帯電話は,共通したアクセサリーをつけることができます。ヘッドセット,耳に覆い被せるようなタイプのものがあるので,それによって人工内耳が電話からの音をキャッチすることができます。それから,携帯電話用に首にかけるものも作られています。HATISというもので,携帯電話と磁気コイルによって接続できるようになっているものです。これはシルエットインダクタというようなもので,テレコイルに近づけて使用します。HATISは音をキャッチしてそれを伝えることができます。FCCは2003年の8月に,2005年までに25%の携帯電話が補聴機器に接続できるものにすべきだというルールを出しました。そういうわけで,テレコイルが利用できる携帯電話の数が非常に増えていて,そうなると特別なアクセサリーがなくても,磁気コイル方式で接続ができるます。
私はCDMAではない,いくつかの携帯電話を試してみましたが,電気的な影響はなく,非常にいい結果を得ることができています。もしも,直接接続のタイプをのぞむなら,専用ケーブルが売られているので,それを買われるとよいでしょう。スピーカーホンも同じような効果が得られます。

Conclusion
電話コミュニケーションができるようになるということは,読話なしの会話ができるということが必要であるということです。FCCはさらに人工内耳ユーザーが電話が使用できるような機器やサービスを保証するように進めていくでしょう。電話コミュニケーションができるようになることで,仕事や生活の可能性が広がっていきます。

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