2004年8月9日・23日合併号(第2・4月曜日発行)
News Source of Educational Audiology
聴能情報誌
みみだより
第3巻
第479号
通巻564号
編集・発行人:みみだより会、立入 哉 〒790−0833 愛媛県松山市祝谷5丁目2−25 FAX:089-946-5211
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立入 哉 :h-tachi@js2.so-net.ne.jp
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【目次】第479号
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第2回 日本教育オーディオロジー研究会
総会・講演会のご案内
日本教育オーディオロジー研究会
会 長 大沼 直紀
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第2回日本教育オーディオロジー研究会総会並びに講演会を下記の要領で開催いたします。多くの方々のご参加をお待ちしています。
今回は以前,金沢市のフィッティング・フォーラムでもご講演いただいた田中美恵子先生をお招きします。先生は横浜ご出身で,現在はアメリカで個人のオーディオロジークリニックを開設され,地域のオーディオロジー全般のお仕事をなさっておられます。近年,アメリカではオーディオロジーという学問領域で博士号が取得できるようになり,田中先生はそのAu.D.(オーディオロジー博士)という学位を取得されました。今回,田中先生から最近のアメリカでのオーディオロジーに関する事情をご講演いただきたいと思っています。
1.期 日:2004年10月22日(金)9:30〜16:30
2.会 場:三重県総合文化センター
(〒514-0061 三重県津市一身田上津部田1234)
※第33回全日聾三重大会開会式と同じ施設
3.参加費:会 員 1000円
非会員 2000円
※事前申込は不要です。
4.プログラム:
9:30〜 受付
10:00〜12:00 一般演題
「個人FMシステムの騒音下における補聴効果の評価」
細矢義伸(京都府立聾学校)・志多真理子(京都府立医科大学耳鼻咽喉科)・安野友博(耳鼻咽喉科安野医院)
「聾学校通級による指導−聴能の実践報告−」
村松弘子(愛知県立豊橋聾学校)
「人工内耳装用児の指導に関しての医療機関との連携」
平島ユイ子(福岡市立博多小学校)
「重度聴覚障害幼児の構音の発達的特徴」
富澤晃文(日本聾話学校)
13:00〜13:30 総会(会員の方はぜひご出席ください)
13:45〜16:15 特別講演
「アメリカにおける補聴器事情と
Audiology/Audiologistの現状(仮題)」
講師:田中美恵子氏(アメリカ在住の日本人初のオーディオロジー博士)
16:15〜16:30 閉会式
5.申し込み
・事前申込は不要です。当日直接会場にお越しください。
・準備の都合上、情報保障(手話通訳)が必要な方は9月30日までに、下記事務局までご連絡ください。
6.ご照会:faxまたはE-mailでお願いします。
日本教育オーディオロジー研究会 事務局(立入 哉)
fax:089-946-5211 E-mail:
h-tachi@js2.so-net.ne.jp
【目次】
研究会開催
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第6回茨城補聴研究会「人工内耳と教育オーディオロジー」 |
第6回研究会は人工内耳について取り上げます。最新の人工内耳についての情報とともに人工内耳を装用した小児に対する教育オーディオロジーについて学びます。
1.「人工内耳の世界と日本での動向」日本コクレア株式会社
人工内耳の最新情報を提供していただきます。世界と日本での人工内耳の動向に ついてメーカーから直接話を伺えるよい機会となるでしょう。
2.「人工内耳装用児に教育オーディオロジーができること」
富沢晃文先生(日本聾話学校 オージオロジー部)
人工内耳装用児に対して教育機関がなすべき事柄について、日本聾話学校での実 践から概説します。次のテーマを予定しています。
・医療機関との連携,保護者への情報提供.
・どのように人工内耳候補児が絞り込まれて行くのか?
・きこえと音声の発達的特徴.
・教育上の配慮.
・人工内耳と補聴器の併用による両耳聴.
1.日 時:2004年10月2日(土)午後1時〜午後4時(予定)
2.会 場:茨城県立水戸聾学校(茨城県水戸市千波町2863−1)
3.参加資格:教育・医療・福祉機関の教職員・医師・言語聴覚士等、補聴器販売店・補聴器メーカー、保健師等
4.参加費:無料(ただし、資料代を徴収することがあります。)
5.申し込み:9月27日までに下記事務局にメールまたはfaxで申し込みください
6.照会先:茨城補聴研究会 事務局(中瀬浩一)まで
勤務先:筑波技術短期大学障害者高等教育センター障害者支援研究部門
Tel&Fax:029-858-9407 e-mail:
nakase@a.tsukuba-tech.ac.jp
【目次】
テーマ:『聴覚障害児を育てて−その体験談に学ぶ−』
講 師:森下小夜子 さん(保護者)
日 時:2004年10月23日(土)午後2時〜4時30分(1時30分受付開始)
会 場:大阪市立天王寺小学校(大阪市天王寺区大道1-4-49)
交通;JRまたは地下鉄「天王寺」駅北出口から徒歩約10分
概 要:講師の森下さんは,聴覚障害児(現在では結婚され家庭を築かれている女性)を育てられるかたわら,大阪難聴児親の会の活動にも熱心に取り組まれてきました。
今回は,幼児期,学齢期,中学高校,それ以降とそれぞれの時期で,どのように考え,どのような教育を受けることを選択し,家庭でもどのようなフォローをされてきたのかを振り返りお話しいただこうと思います。
また,親の会で活動をされる中で,聴覚障害児にとって望ましいと思われる教育環境や学習方法などについてもお考えをうかがおうと思っています。
過去と現在の聴覚障害児教育の相違点を知るとともに,聴覚障害児に指導をする場合,考慮しなければならないことは何かなど,見つめ直す機会にしたいと思います。
参加対象:教職員のみ
参加費:会員無料,非会員500円
*手話による情報保障が必要な場合のみ,10月4日(月)までに,下記事務局までFAXで連絡をしてください。それ以外は,事前申込みの必要はありません。
【会場案内図】
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【目次】
フォーラム開催
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都立ろう学校統廃合見直しを迫るフォーラム |
都立ろう学校統廃合計画の見直しを迫る「第14回ろう教育フォーラムin東京」
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<呼びかけ文>
7月14日,東京都特別支援教育推進計画概要(案)が発表されました。統廃合該当校校長には午前中に説明,午後には校長が臨時職員会議,保護者会で説明,夕方にはプレス発表,翌日に全校長に説明という尋常でないやり方です。10月15日までは意見を集めるとしています。
9校あった都立ろう学校が,葛飾ろう学校の開校で8校になり,それをさらに一気に4校にまで統廃合を進めるという計画で,予想をはるかに超える縮小計画に激震が走りました。平成18年度から,品川校,江東校,杉並校の幼小学部は,大塚校の分教室になり,大塚校も幼小学部に縮小,中高一貫の中央校と幼小中高専の総合校(職業指導校)である立川校,葛飾校の4校体制にするというのです(幼小の大塚校は中高一貫の中央校と「密接な関係」を持ち,実質3校体制となります)。
昨年12月に出された東京都心身障害教育改善検討委員会「最終報告」は「幼小の通学負担については十分に配慮する」としており,都立ろう学校統廃合計画はこの「最終報告」に明らかに反しています。昨年6月の「中間まとめ」では「幼小の通学負担については配慮する」と表現されていて,「最終報告」では「十分」を付け加え,わざわざ変更した経緯があります。都立ろう学校統廃合計画は「最終報告」を真っ向から否定するもので到底認められるものではありません。
都立ろう学校統廃合計画が11月に正式発表され実施されることになれば,乳幼児教育相談や幼小児や重複児に大きな打撃を与えることは明らかです。通学困難から望まないインテグレーションの選択が増え,行き先では孤立化の問題にぶつかることになります。こうしたろう学校離れが長期的にはろう学校そのものの衰退を招くことにもなります。高等部や専攻かで行われてきた進路選択も困難になります。ろう者同士のつながりも希薄になっていきます。99年の「東京都聴覚障害教育推進構想」,00年の「コミュニケーション等改善検討委員会報告」以降,各ろう学校が取り組んできたろう教育改善充実の努力を無にするものでもあります。
都立ろう学校統廃合計画に見直しを迫る行動が求められています。危機感をお持ちの皆さんの結集を呼びかけます。
◆日 時: 2004年9月25日(土)9:30〜17:00
◆会 場: 東京都立墨東養護学校(〒135-0003 東京都江東区猿江2-16-18)
都営地下鉄新宿線住吉駅下車,A4出口より徒歩5分
◆参加費: 1000円(当日受付でお支払いください)
◆保 育: 500円(事前に申し込んでください)
◆主 催: 東京の聴覚障害教育を考える会
◆プログラム
9:30 受付開始
10:00 基調報告「経過と問題点」
10:40 ろう教育改善充実の取り組みの報告,ろう学校現場から
12:00 昼食(各自で済ませてください)
13:00 望ましいろう教育と「計画」の隔たりへの意見表明
・保護者,聴覚障害者,教員等から
15:00 「統廃合計画の見直しを迫る」パネルディスカッション
17:00 終了
◎参加希望者は,
・考える会事務局(社団法人東京都聴覚障害者連盟内へ) FAX 03-5464-6057
【目次】
勉強会開催
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トライアングル勉強会 「聴力の低下と補聴器について」 |
子どもの聴力の低下で心配させられた経験をお持ちの親御さんも多いと思います。また,いつ聴力が低下するかと,不安をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。今回の勉強会は,耳鼻科医の立場から,聴力低下の診断治療について,そして補聴器の扱いについて,分かりやすくお話していただきます。聞こえないお子さんをお持ちのご両親,中高生以上の聴覚障害者ご本人達,聴覚障害の教育関係や福祉関係の方々,ぜひご参加ください。
日 時:2004年10月16日(土)午後2時〜4時
講 師:杉内智子先生(関東労災病院耳鼻咽喉科)
場 所:全国心身障害児福祉財団ビル4階会議室
(東京都新宿区西早稲田2−2−8)
参 加 費:無 料
情報保障:手話通訳とパソコン文字通訳
申込み先:前もって参加者のお名前と住所・電話・FAX・立場(親・本人・専門家など)をトライアングル事務局までお知らせください。
TEL/FAX:03-3203-9938,メールアドレス:
aq2t-ueym@asahi-net.or.jp
※トライアングル会員に限らずどなたでも参加できます。
※託児を希望される方は,前もってご連絡ください。(お一人 500円)
協賛:松下電器産業株式会社
【目次】
下記の日程で学術集会を開催いたしますので、ご参集ください。
日 時:2004年10月3日(日)午後1:00〜3:00
場 所:金沢大学医学部附属病院3Fカンファレンスルーム(口腔外科外来の向かい)
内 容:
1. NPO法人化の中間報告
石崎孝彦(金沢方式研究会顧問)
2. 金沢方式で訓練を受けた子ども達の話ことばの力
―7月〜8月にかけて検査させていただいた中間報告―
小林智子(金沢大学大学院医学系研究科)
能登谷晶子(金沢大医学部保健学科)
3. 子どもの思春期とどう向かいあうか
100dBの高度難聴児を育てたお母さんの報告
中学時代から大学生になるまで
川崎淳子さん(津幡町在住)
能登谷晶子(金沢大医学部保健学科)
※発表時間は,1演題15分、質疑10分を予定しています。
参加費:非会員の方は当日会費1000円をお支払いください。
問合せ先:金沢方式研究会事務局
金沢大学医学部耳鼻科内 TEL:076-265-2413, Fax:076-234-4265
ご好評をいただいている図書紹介
ことばを獲得するための二人三脚が始まった
―子どもの能力を伸ばす金沢方式で聴覚障害児を育てたお母さんの記録―
編集 金沢大学医学部保健学科 能登谷晶子
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金沢方式でお子さんを育てたお母さんお二人による手記が発行されました。聴覚障害児をお持ちのご両親のみならず、言語聴覚士を目指している学生さん、また言葉の教室や難聴学級の先生方、保健婦さん、保育士さんたちにぜひご一読をお薦めします。100dB以上のお子さんに行った言語訓練の内容も盛り込みましたので、現在言語訓練を行っている言語聴覚士の方々にもご参考になる1冊と思います。
発行元: 金沢方式研究会 価格 : 1300円(送料別)
希望の方は冊数、郵便番号、住所、氏名、電話番号、FAX番号を記入して上記の事務局までご連絡下さい(書店では注文できません)。
【目次】
セミナー開催
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日本音響学会 聴覚研究会 ビギナーズセミナー |
・日 時: 2004年10月22日(金),23日(土)
・テ ー マ: ビギナーズセミナー/聴覚一般
・開催趣旨:
今回は,聴覚研究会としては初の試みとして,若手研究者育成を目的とした若手研究者向けの研究会を開催します。これまでの研究会とは異なりまして,下記開催場所での合宿(1泊2日)形式となります。テーマは聴覚一般とし,発表形式はポスター発表としますので,口頭発表とは異なり,時間をかけてゆっくりと説明・議論することができます。また,寝食を共にすることで,若手研究者同士,また世代を越えて交流をはかることもできます。さらに,若手研究者育成のためのレクチャーセッションとして,以下の3名の先生方に講演をお願いしております。
・レクチャー1 22日13:30-14:15「調性の話」中島祥好(九州大・芸工)
・レクチャー2 22日14:30-15:15「聴覚を知って補聴器を作る」
鈴木陽一(東北大・電気通信研究所)
・レクチャー3 23日 9:30-10:15「音声の音色を変えてみよう」
赤木正人(北陸先端大)
なお,一般演題も通常どおり開催されます。
7.移動音源を用いたデジタル補聴器の適応型指向性マイクロホンに対する音響学的検討
○岩崎紀子,白石君男(九州大)
8.耳介開放型聴覚ディスプレイに関する検討
○渋谷亮輔(東北大),石田泰久(秋田大),岩谷幸雄(東北大)ら
その他の一般演題は=http://wwwsoc.nii.ac.jp/asj/H/schedule/schedule_04_10.html
・場 所:石川県青少年総合研修センター(〒920-0834金沢市常盤町212-1)
交通:金沢駅より「田上住宅行」(92番)「金沢大学行」(93番)バスで「鈴見台1丁目」下車,徒歩10分
金沢駅中央口(東口)よりタクシーで10分
・世 話 役:赤木正人先生,Fax: 0761-51-1149,e-mail:
akagi@jaist.ac.jp
☆ 聴覚研究会の今後の予定. [ ]内, 発表申込/原稿〆切日.
・11月13日(土) 於:はこだて未来大,テーマ:聴覚/一般
・12月日4日(土),5日(日) 於:九州大,テーマ:聴覚・音楽音響/一般
【目次】
4月末の金曜日,帰り支度をしていたら突然保健士さんから電話がかかってきた。ある子どもの聴覚テストをすぐにやってほしいという。こういう電話はあまりかかってこないので,少し嫌な予感がした。
状況をよくきいてみると,すぐみてほしいという女の子は6歳ぐらいで,幼稚園の先生の言っていることがわかっているのかわかっていないのか先生たちもわからず,学習障害が疑われているという。また,聴覚スクリーニングを試みたがうまくテストできなかったようである。保健士さんが一番気になるのは,女の子の言葉が「デフスピーチ」に聞こえることだという。オンタリオ州からここのニューファンドランド州に去年9月ぐらいに引越してきてまもなくたつが,スピーチセラピーも受けておらず,何の支援も受けていないという。
この子どもには,聴覚障害の危険信号である言葉の遅れ,妊娠30週目で生まれた未熟児であったこと,学習障害の疑いがあるということなどから,すぐ次の週にアポイントを入れるようにするという旨を保健士さんに伝えた。実は,あとでわかったことだが,前に勤めていた保健士さんからも,去年この女の子の紹介状があったということだ。けれども,特に紹介の理由も何も書いてなかったので「GENERAL WAITINGLIST」に入れられていた。残念ながら,ここは,他州と比べてとてもウェイティングリストが長く,理由も何も書いてないと紹介されてから6ヶ月以上たってから初めて聴覚検査というケースもまれではない。この新しい保健士さんの判断力のおかげでたまたまこの女の子は救われたが,やはりウェイティングリストをなるべくなくすように努力する必要性を感じる。
長い話を短くすると,「デフスピーチ」のような話し方をすると保健士さんに紹介されたエリカちゃんは5月の半ばから両側にピンクの補聴器とピンクのイヤモールドをつけている。確かに,彼女の話す英語を聞いていると英語では大切な摩擦音,破擦音があまり明瞭ではない。エリカちゃんのお母さんは,最初の聴覚検査のあと少なくとも高音に中等度の聴覚障害があると伝えると「やっぱり」という感じでかえってほっとしたような反応を示した。よくよく話を聞いてみると,オンタリオ州にいた時もいろいろな専門家に会ってきたがみんな「INCONCLUSIVE」(結論がでない)やら学習障害を疑うやらで彼女の言葉をかりていうなれば「たらいまわしにされてきた」ようである。例えば,オンタリオ州では言語発達のアセスメントをした言語聴覚士(下記の注意参照)に,「しつけがちゃんとされなければセラピーができない」と言われたという。どのようにこの言語聴覚士が表現したかわからないが,母親がそれに傷ついたということはわかった。このような経過からなんとなく言語聴覚士に対して不信になっていたということも彼女の話しから伝わってきた。
ただ,幼稚園の先生たちが学習障害を疑っているというのはわたしとここで働いているもう一人のオーディオロジストであるアンもうなずけた。というのも,遊戯聴覚検査を6歳になるエリカちゃんはうまくできなかったためである。音をきいたらブロックを積み立てるという簡単な概念がどうしてものみこめないようであった。右耳と左耳それぞれの耳音響放射およびスピーチテスト(Speech Detection Threshold とSpeech Reception Threshold)の閾値からだいたい500Hzと1000Hzなら軽度の難聴か普通に聞こえるはずということがわかっていたのでその周波数を使って何回もコンディション(この場合,音をきいてからブロックを積み立てるという関連を学習させるプロセス)を試みてもだめであった。ただ,ありがたいことに最近の補聴器はある程度,難聴度がわかっていればあとあとでもプログラミングで調整できるので早速難聴があるとわかった時点で補聴器をつけることにした。他のオーディオロジストは,この方法を疑問に思うかもしれないが,補聴器を早期につけたら本人がもっと早く音に慣れ,(よってオーラルリハビリテーションが早く始められる)しかもより正確なファンクショナルゲインも得られるだろうという目論見があるからである。今でも,この判断は間違っていなかったと思っている。
補聴器をつけたあと,嬉しい報告が母親からあった。近くで名前を呼ばなくても振り向くようになった,遠くに聞こえる消防車のサイレンの音に対して反応を示したという。5月の末,試みに補聴器をつけた閾値をテストしたところ,低音から高音までまずまずの結果が得られた。やっと,音をきいたら遊戯をするというプロセスがやっと学習できたようだ。ただ,同じ遊戯を使って補聴器をつけない聴覚検査をしようとしてもどうしても高音の結果が正確に得られない。今でもどうしてかはわからない。あと,本当にエリカちゃんに学習障害があるのならばそれが聴覚障害からくる二次的障害なのかどうなのか,それもわからない。何れにせよ,これから数ヶ月はフォローアップをして,少しずつ補聴器を調整する必要がある。
母親も最初に会った時よりもずっと私たちに対して心を開いて話してくれるようになり,お互い信頼関係が築けられた。何もオーディオロジーの分野に限ったことではないと思うが,やはり患者さんとその家族との信頼関係を築けられるかどうかが,成功の鍵である。まだやらなければならない課題はたくさん残っているが,よいスタートが切れたと思う。
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注意:北米では,言語聴覚士は言語専門のSpeech-Language Pathologist(SLP)と聴覚専門のオーディオロジスト(Audiologist)に分かれている。現在わたしが働いている所には,SLPもオーディオロジストも同じところにあり,意見交換ができてとても助かっている。エリカちゃんの場合,既に学齢期に達しており学校のSLPがみるので,残念ながらここの病院のSLPの対象ではない。
上前 牧(うえまえ まき)
カナダ言語聴覚士協会認定オーディオロジスト
ブリティッシュコロンビア大学,オーディオロジー修士プログラム卒
現在ニューファンドランドの公立病院勤務
ご質問ご感想は,
makiuemae@hotmail.com までどうぞ。
【目次】
仲秋の候,皆様には益々ご清栄のこととお喜び申し上げます。
さて,本校では昨年度より「聴覚障害児の学力を伸ばす指導法の研究」の研究主題のもと,日々研究実践に取り組んでまいりました。
この度,その研究の一端を公開し,皆様方の御指導御助言を賜りたく存じます。
つきましては,御多用中とは存じますが,御参会くださいますよう御案内申し上げます。
研究主題
聴覚障害児の学力を伸ばす指導法の研究
−個の学習特性に応じた指導の工夫を通して−
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1 期 日 2005年1月28日(金) 受付 8:40〜
2 会 場 福岡県立直方聾学校
〒822-0001 福岡県直方市大字感田346−1
3 日 程
8:40〜 9:30 受付
※8:50〜9:10 自学の時間公開
9:30〜 9:50 開会式
9:55〜10:40 公開授業(幼・小・中学部)
11:00〜12:30 研究協議会
13:30〜14:00 全体会(各研究協議会の報告)
14:10〜15:50 演題「聴覚障害幼児児童生徒の学力を高めるために」
講演 筑波大学附属聾学校 教諭 深江健司先生
15:50〜16:00 閉会式
問い合わせ先
福岡県立直方聾学校 研修部(荒木,上田)
【目次】
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