聴能情報誌 みみだより 第3巻 第473号 通巻558号
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法人化 |
筑波技術短期大学 新体制 |
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国立大学法人化がこの4月から実施され,もはや「国立大学」は存在せず,「独立大学法人」として,各大学がそれぞれの経営観をもって自主運営する時代に突入した。大学個々が独自の運営ができる自主性・主体性が高まることは一定の評価ができる。
一方,公開講座の受講料は経費÷参加者という設定になる,定員に満たなかった学部や学科等に支出された運営にかかる補助金等は人数割で返還することが求められるようになるなど様々な変化も起こることになる。今まで特殊教育特別専攻科(教員免許状所持者への特殊免取得1年課程)は
どの大学も定員に満たないことが多いが,この専攻科を存続させるか否かの論議が行われることは必至の状況である。
さて,この独法化の中で,筑波技術短期大学,特殊教育総合研究所が大きな組織変更を行った。今回は,筑波技術短期大学の改変について,お知らせする。
■大学組織の改変=「障害者高等教育センター」を新設
一般教育等教官と教育方法開発センター教官をまとめ、聴覚・視覚障害者のための「障害者支援研究部門」と「障害者基礎教育部門」の2部門に再編した(専任教官26名)。
■学外者が大学の経営に参加することになる
理事(副学長 相当)■大学の(学外)経営協議会委員を委嘱することになる(10名)
講演会開催 |
関東教育オーディオロジー研究協議会 |
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昨年4月に設立されました関東教育オーディオロジー研究協議会は,関東地区聾学校長会をはじめ皆様から多くのご支援,励ましをいただき,昨年5月に設立総会・記念講演を行い,8月には3日間の講習会を開催しました。また,この間3回の会誌の発行を行ったほか,1月の東京都聴能研究会主催のシンポジウムを後援させていただきました。現在会員数も100有余名にのぼっております。
新しい年度を迎え,このたび,この会の2回目の総会をご案内することが出来ますのも,皆様の暖かいご支援の賜と,御礼申し上げます。
今回は,下記の通り,元国立特殊教育総合研究所聴覚・言語障害教育研究部部長の菅原廣一先生を講師にお迎えし講演会を開催いたします。多数のご参加をお待ち申し上げます。
1.開講日時 ・・・ 2004年5月15日(土)
○演題 「聴覚障害児教育のこれまで、そしてこれから」
○講師 元国立特殊教育研究所聴覚・言語障害教育研究部部長 菅原廣一先生
2.場 所 ・・・ 東京都立杉並ろう学校体育館〒168−0073 東京都杉並区下高井戸2−22−10
TEL 03−3323−8376
FAXの返信先 03−5697−0275
東京都立葛飾ろう学校 間根山 祥行 宛
※定員150名で締め切らせていただきます。
非会員 1,000円(当日入会された方は会員扱いとなります)
5.その他 ・・・ ・当日終了後,菅原廣一先生を囲んで懇親会を行います。海外たより |
オーディオロジストの徒然草(1) |
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海外で働く日本人オーディオロジストは意外と多い。英語の勉強や留学などのためにアメリカやカナダに渡り,そこでスピーチサイエンスに興味を持ち,さらにオーディオロジーに関心が向き,そのままアメリカなどで仕事を得るという方が多い。先日,来日された荏原幸江さんも,その一人。彼女はニューメキシコ州のロズウェルで自分自身のクリニックを開いておられる(アメリカではオーディオロジストは自分のみで開業でき,聴力検査,スクリーニング,学校検診,それに伴う診断のほか,もちろん補聴器関連の販売,調整,装用指導などを「業」として行うことができる;基本的に耳鼻科医は外科医として仕事を行い,補聴器にはタッチしない)。他に田中美恵子さんもアメリカでクリニックを開業している。
他にも多くの日本人がオーディオロジストとして活躍されておられる。日本ではオーディオロジストがアメリカで認められているような「業」を営むことは困難であり,それゆえに日本で働きたくとも,良い職場がないということも,アメリカなどで仕事を続けることにつながっているようにも思える。
さて,今回,そうした方々のお一人,上前牧さんから原稿を頂戴できた。継続して原稿を頂戴できる予定である。海外のオーディオロジストの活躍ぶりをぜひご覧いただきたい。
オーディオロジストの徒然草(1)
最近、7歳のテリーくんが「右の耳が悪いかも」ということで医者からうちの病院に紹介され、私がヒアリングテストをした。最初に行ったティンパノメトリで、両耳とも陰圧側にピークがずれているということがわかったので、きっと一時的な伝音性難聴かもしくは「正常なきこえ」だろうと思った。案の定、中耳や耳管機能不全によくみられる低音、中音に軽度の難聴がある。ところが、骨導聴力検査をやったところ、気骨導差がほとんどない。両耳とも混合性難聴?と思い6週間にまた確かめたが閾値の結果は同じである。結論をいえば感音性難聴であった。
オーディオロジストとして一番つらい仕事は誰もが予想もしてなかった治療不可能な聴覚障害を親に伝えることである。母親は、突然の悪い知らせをどううけてよいものやら、動揺している様子であった。まず、「これ以上悪くなるのですか。」ときかれたが、この質問にはいつも「わからない」と答えている。実際にどうなるのかわからないし、へんな期待をもたせてしまったり、反対に余計な心配をさせるのはよくないと思っている。きくところによると、テリーくんのお父さんの方に、小さい頃から補聴器を使っている兄弟がいるという。母親には、その難聴の原因とどのように進行したのかを詳しくきいてもらうようにお願いした。
ここカナダの東部にあるニューファンドランドは「赤毛のアン」で有名なプリンスエドワード島のもう少し北にあるいわゆる大きな島である。そのせいか先天性難聴が多い。ラブレスという家族に見られる遺伝性の難聴はこの島でも(少なくともニューファンドランド島のオーディオロジストの間では)有名である。ここにもラブレスという名字の患者さんがよくくる。「ラブレス難聴」は、進行性であるが、低音からまず失い始め、進むにつれて高音も悪くなる。これは、典型的な進行性感音性難聴(高音がまず悪くなる)と違うので、研究者からも注目を浴びている。テリーくんにその遺伝が流れているかは今の段階ではわからない。
私からみてもテリーくんはとても利発的で私の長いヒアリングテストもちゃんと協力してやってくれる。親の期待も大きいに違いない。今までの言語発達も普通であったし、問題はなかった。だから、母親が動揺を隠せないのも無理はない。実は、このテリーくんのケースにはもうひとつ考えさせられることがあった。新生児聴力スクリーニングについてである。テリーくんは生後まもなくうけた耳音響放射のスクリーニングにパスしている。その時点で40dBHL以上の難聴があればパスしなかったであろう。テリーくんのきこえは生後すぐ正常だったのかもうすでに軽度の難聴があったのかいづれにしてもわからないが、発見がここまで遅れたケースは珍しいと思う。ただ、このことを通して新生児聴力スクリーニングも完全ではないのだなということを痛感させられた。
テリーくんのケースは、まず親などが彼の難聴を受け入れる時間が必要であると思ったので補聴器の話を持ち出すのは次の機会に回した。その間、耳鼻科のお医者さんとHEARING RESOURCE TEACHER(普通学級にいる難聴のある生徒を区域別に担当して、学校を訪問した時は、勉強などを特別にみてあげる先生)に見てもらうように紹介状を書いた。HUMAN RESOURCE TEACHERに紹介したのはテリーくんが学年末である6月までには9月からの新学年度に備えて準備が進められるようにとの配慮である。実は、新米オーディオロジストとして、頭が痛いのは補聴器のことをどうやってうまく説明すればいいか、ということである。今はいいとしても学年が進むにつれて軽度難聴でも影響が出るということは知られている。もし、これが進行性の難聴だとしたらますます必要になる。あと、年齢が高くなるにつれてみんな周りからどうみられているか、ということをとても気にするので補聴器に慣れるのなら今が一番いいと思っている。わたしの上司でもあり同僚でもあるアンからは、「まずすべて軽度難聴のこどもが経験すること、知られていることを説明して、親に考えてもらう時間をつくること。どんな場面で、テリーくんがきこえにくいのかを観察してもらうこと。」とアドバイスをもらった。彼女から学んだことは、「よくきこえるようにすることは自分の責任であり、補聴器もつけるかつけないかは患者さんの選択だということを伝え、患者さんに主人公になってもらうこと」である。しかし、子どもの場合はどうなのだろう。やはり、親がどう受けとめるかが大きいのであろう。補聴器につきまとう偏見の壁が大きいのはカナダでも同じである。
◎上前 牧(うえまえ まき)
・カナダ言語聴覚士協会認定オーディオロジスト
・ブリティッシュコロンビア大学、オーディオロジー修士プログラム卒
・現在ニューファンドランドの公立病院勤務
質問ご感想のある方は, makiuemae@hotmail.com までどうぞ。
研究会開催 |
第31回 言語・聴能教育実践夏季講座 |
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1.期 日: 2004年8月16日(月)・17日(火)
2.場 所: 御殿山ヒルズ ホテルラフォーレ東京(東京都品川区)
3.受 講 料: 15,000円(2日間の昼食代含む)
4.日程及び講義内容:
8月16日(月)
8月17日(火)
5.申込締切: 7月末日(定員になり次第締切ります)
6.照 会 先: 言語・聴能教室実践科学会事務局
FAX: 03−3203−0491
Eメール: tryk@tokyo.email.ne.jp
セミナー開催 |
デジタル補聴器臨床セミナー |
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◆日時: 2004年5月16日(日) 13:00〜16:30
◆場所: 金山プラザホテル ゼミナール館3F 第3会議室
〒460-0024 名古屋市中区正木3-7-15 Tel. 052-331-6411
※金山駅(JR/ 名鉄/ 地下鉄)より徒歩5分
◆内容:
・シーメンスデジタル補聴器新器種紹介
・パソコンを用いたフィッティング実習
・実際の症例を用いたフィッティング受付
・教育現場の先生方よりフィッティング症例の発表
・各発表に対する質疑応答
◆ 参加申込: ご参加頂ける先生方は、下記申し込み用紙にご記入の上FAXのほどお願い致します。
会場整理の都合上、5月10日(月)までに事務局へ送付願います。
なお、参加費は無料ですが、会場までの交通費等につきましてはご負担下さい。
◆ 定 員: 50名 ※定員になりしだい〆切らせて頂きます。
◆ 照会先: シーメンスヒヤリングインスツルメンツ株式会社
デジタル補聴器臨床セミナー 事務局 担当:藤垣、永井
Tel. 042-765-5613 Fax. 042-765-5601
氏 名 |
所 属 学校名/研究機関名 |
連絡先 電話番号 |
様 |
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様 |
講習会開催 |
第7回 ヴェルボトナル法講習会開催のご案内 |
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1.期 間: 2004年7月22日(木)〜24日(土)
2.場 所: ヴェルボトナル研究所 関東短期大学305教室(3号館1F)
3.対 象: (1)小学校ことばの教室,聾学校等教師
(2)病院,施設等にお勤めの言語聴覚士
(3)聴覚障害児の保護者
(4)VT法に関心のある方
4.プログラム: テーマ「リズムから言葉へ」
22日(木)
23日(金)
24日(土)
5.講 師: 関東学園ヴェルボトナル研究所
(所長) クロード・ロベルジュ (主任) 原田英一 (研究員) 田中望実
6.定 員: 30名
7.受講料: 一般 10,000円、保護者 3,000円
・当日、受付時に受講料をお納めください。
・受付場所は、短期大学305教室前(3号館1F)になります。
・昼食は短大学生食堂の他、周辺のお食事処をご案内いたします。
8.受講申し込み: 参加ご希望の方は、下記照会先に @住所,A氏名,Bご職業(分野)を明記し,
申し込んでください。7月16日(金)を締め切りとさせていただきます。
9.ホテルのご案内: 館林周辺に下記のホテルがございます。予約連絡等は、各自でお願い致します。
*ニューミヤコホテル TEL.0276−73−3337(駅に近く、便利です。)
*館林グランドホテル TEL.0276−72−0541
*ニューロイヤルホテル TEL.0276−72−4555
10.問い合わせ: 関東学園ヴェルボトナル研究所
TEL:0276−74−9847(直通) FAX:0276−74−4481
E−mail: kohoverb@kanto-gakuen.ac.jp
報告集完成 |
「補聴システムとリハビリテーション」シンポ |
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昨年12月14日に行われた全難聴主催『補聴システムとリハビリテーション』シンポジウムの報告書が刊行された。(シンポジウム自体については,「みみだより」463号 を参照のこと。)
報告集には下記を収録。
■講演「補聴援助システムに関する基礎知識について」
愛媛大学教育学部 立入哉氏
「補聴器ユーザーとしての体験談」
NPO法人東京都中途失聴・難聴者協会 須賀一氏
「最近の補聴器開発の現場から」
リオン(株) 前川直子氏
「高齢難聴者の補聴器フィッティングの問題点について」
認定補聴器技能者の会会長 福澤 理氏
「補聴システム活用の可能性について」
−特にFM補聴システムに関して−
筑波技術短期大学教育方法開発センター 中瀬浩一氏
「練馬区における支援等の現状と問題点について」
練馬区立心身障害者福祉センター(中村橋福祉ケアセンター) 言語聴覚士 渡辺真理氏
★ホームページ紹介★
■補聴器用空気電池の通信販売 ・・・ 空気電池は 1パック 500円(税込み)
http://www.aslan.co.jp/denchi.htm
■ポケット形FM補聴器「オレイユFM」
製品紹介 |
受話器専用増幅器「きこえてる」 |
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聴覚障害者が電話を用いる際のグッズにはいくつかの製品がある。受話器にかぶせて使用する「カプラ」,聴覚障害者用の電話機である。カプラは持ち運びできる利点はあるが,増幅量が弱く,音質も良くない。聴覚障害者用電話機は電話機ごと購入せねばならず,既にファックスを使用している場合などは購入に至らなかった。
このため,既にSONYから,図のように電話機本体と受話器の間に挟む接続で使用する機器が市販されている。図中では電話機になっているが,既に所持しているファックスでも良く,ファックスの受話器を増幅することができる。
実は同様の製品は欧米で十年前以上から発売されていたが,日本の電話機やファックスは受話器と電話機本体との相性が一定ではなく,欧米の製品を輸入しても,そのままで使用できないことが多かった。
そこで,SONYの製品には右上図のような相性を合わせるスイッチが付いている。ところが相性を合わせることは本製品のユーザー対象が高齢者であることを考えると困難が予想される。
本製品の優れたところは,受話器のマイクとスピーカとのハウリングをうまく利用して,結線(相性)を判別する機能が付いている点にある。このため,面倒な事前の設定が不要となっている。また,ボリューム調整も,回転式ツマミになっていて,操作しやすいなど後発だけに良く研究され尽くされている。音質調整も3段階で可能。ACアダプタ方式なので電池交換が不要。
■製造元:プリモ販売株式会社
http://www.pstone.co.jp/products/jisha/kikoeteru.pdf
〒534-0011 大阪市都島区高倉町1-8-11
TEL:06-6921-6031 FAX:06-6924-2204 e-mail:info@pstone.co.jp
■販売元:(株)タイムズコーポレーション
http://www.times.ne.jp/products/TA11/index.html
〒665-0051 兵庫県宝塚市高司1-6-11
TEL:0797-74-2206 FAX:0797-73-8894 e-mail:info@times.ne.jp
■関連ホームページ
・受話音量アンプ SONY TL-A10(本製品と同様の機能の先発機)
http://www.normanet.ne.jp/~mimi/mimi424.html#TLA10(みみだより424号)
・電話機自体に増幅機能が内蔵されている電話機
http://www.normanet.ne.jp/~mimi/mimi378.html#TELEVOICE(みみだより378号)
http://www.normanet.ne.jp/~mimi/mimi355.html#TEL(みみだより355号)
製品紹介 |
特殊プラグアダプタ「PA-01C」 |
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テレビ用の補聴援助システムを設置する際,通常,テレビ裏の外部出力などを利用しますが,そうした端子がない場合,イヤホンジャックから信号を取り出そうとします。すると,スピーカからの音が切れてしまいます。この特殊アダプタはスピーカの音を止めないでテレビやラジオのイヤホンジャックから信号を取り出すことができます。以前,同様の製品がリオンから市販されていましたが,原理的にはまったく同じで,プラグ先端をスプリング状にすることで,イヤホンジャックのスピーカ断スイッチをごまかす方法を採っています。1ヶ1500円。なかなか入手しにくい製品ですので,ラージという会社の通信販売システムでの入手方法を下に紹介しておきます。
■製造元:エムケー精工株式会社
http://www.mk-net.co.jp/mkdenshi/index.html
〒387-8603 長野県千曲市雨宮1825番地
TEL 026-272-8441 FAX 026-272-8427 e-mail:mk-chaty@mx2.avis.ne.jp
■購入はここで → http://home.s00.itscom.net/large/pa-01c/index.html