2003年4月28日発行(第2・4月曜日発行)

News Source of Educational Audiology

聴能情報誌  みみだより  第3巻  第453号  通巻538号


編集・発行人:みみだより会、立入 哉 〒790−0833 愛媛県松山市祝谷5丁目2−25 FAX:089-946-5211
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【目次】第453号

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 今年度も認定講習情報をお待ち致しております!

 学校に回覧になった開催要項をそのままファックスで送信して下さって結構です。

例年,県教委にも情報提供を依頼しておりますが,返答が遅く,申し込み期日に間に合わない場合が数多く出てしまい非常に残念に思っております。要項がお手元に届かなくとも「開催日程だけ」という情報でも結構です。どうぞ,お知らせ願います。


ろう教育関連要望
 全日本ろうあ連盟が文部科学省に要望書を提出

全日本ろうあ連盟は2月20日付けで文部科学省に要望書を提出した。要望書は4枚に渡るものである。

【目次】



シンポ開催
 新生児聴覚スクリーニング検査を考えるシンポジウム

1.開催日時   2003年5月18日(日)9:45〜16:30
 
2.開催場所   国立オリンピック記念青少年総合センター
                      (小田急線参宮橋駅下車徒歩7分)
          午前の部(講演)      センター棟研修室101号室
          午後の部(シンポジウム)      同研修室501号室
3. 主 催    新生児聴覚スクリーニング検査を考えるシンポジウム準備委員会
 
4. 参加費    3500円(昼食代別)
 
5.参加定員   200人
 
6.締め切り   4月30日(金)ただし、定員になり次第締め切ります。
 
7.申込方法   下の申込書に記入の上、ファックスか電子メールでお願いします。
          ・申し込みいただき、参加可能な方には、「準備委員会」名義の銀行口座番 
           号等をお知らせしますので、銀行振込みでお支払い下さい。 定員に達し、参 
           加できない方にはその旨ご連絡いたします。
 
8. 昼 食    ・ 昼食をご希望の方は、銀行振込みの際に590円をプラスしてお申
          し込み下さい。当日の受付の際に、昼食券をお渡しします。この昼食
          券は、センター棟2階大食堂「カフェテリアふじ」の昼食券です。
          ・ お弁当は研修室内ではおとりになれません。センター内でもお弁当
          を食べる場所はとくにありませんのでご了承ください。
 
9.内容(予定)   やむをえない事情により、変更することもあります。
    9:15〜    開場    受付
    9:45     開会   司会 池頭一浩(準備委員・県立広島ろう学校)
    9:45~10:00  開会挨拶・企画趣旨説明 木島照夫(準備委員会代表・都立大塚ろう学校)
  [午前の部・講演]  司会 池頭一浩(準備委員・県立広島ろう学校)
   10:00~10:45  講演@「スクリーニングの意義と実際」
           三科 潤(東京女子医大母子総合医療センター)
   10:45~11:15  講演A「早期母子支援とスクリーニング」 
           河崎佳子(佛教大学臨床心理学研究センター) 
   11:15~11:25  休憩
   11:25~12:25  講演B「医療技術と生命倫理」
           松原洋子(立命館大学院先端総合学術研究科)
   12:25~13:30  昼食
 
  [午後の部・シンポジウム] 司会 上農正剛(準備委員・九州保健福祉大学)  
   13:30~13:50  基調発表@「聴覚障害者団体の立場から」 
           大杉 豊(全日本ろうあ連盟)
   13:50~14:10  基調発表A「聴覚障害児の親の立場から」
           橋倉あや子(稲城市聴覚障害児をもつ親の会)
   14:10~14:30  基調発表B「耳鼻科医の立場から」
           田中美郷(田中美郷教育研究所) 
   14:30~14:40  休憩
   14:40~16:10  質疑応答・討論  
           シンポジスト
          (三科潤、田中美郷、河崎佳子、松原洋子、大杉豊、橋倉あや子)
   16:10~16:30  まとめ 上農正剛 
 
10. その他   ・手話通訳およびパソコン要約筆記がつきます。
         ・当日、参加されない場合も参加費はお返しできません。
         ・定員に制限があるため、当日申し込みはできません。
 
11. 照会先    ファックス/042−379−1171(準備委員会事務局)  
            同  /03−3823−0139(田中)
         電子メール/unhs_simpo@yahoo.co.jp


「新生児聴覚スクリーニング検査を考えるシンポジウム」参加申込書
送信先FAX=042−379−1171,e-mail unhs_simpo@yahoo.co.jp
氏  名 (フリガナ                             )


住  所 □□□−□□□□


連 絡 先 電話:           ファックス:            
電子メール:
所 属 (聴覚障害団体・親の会・教育関係・医療関係・学生・一般)
ろう・難聴・聴者の別 (ろう・難聴・聴者)
昼食の要・不要 (要・不要)

【目次】



ハンドブック販売
  「難聴児・生徒理解ハンドブック」
  −難聴の児童生徒を教えている先生方へ−

この冊子は,新潟県で難聴児童生徒の通級指導に携わる三人が,その経験を元に難聴児童生徒の問題をまとめたものです。難聴の児童生徒が在籍して日常生活を送っている通常学級の先生方を念頭において,難聴の現実とその支援の方策を説いています。難聴の子どもを支援するためには,まず難聴の現実を理解することが不可欠です。難聴児童生徒の教育に心を砕いている先生方への熱いエールに満ち溢れた内容となっています。
また,通常学級の教職員のみならず,保護者や通級指導担当者にとっても有益な情報が満載されています。親の会の学習や教員養成・研修にも,本書が大いに役立つことと期待されます。(長岡市言語親の会編 B5版,90ページ 頒価500円)

(「はじめに」より 抜粋)
難聴児・生徒理解ハンドブック
・・・私たち3人は,上越教育大学の障害児教育講座でほぼ同時期に聴覚障害について学びました。修了後,は県内のあちこちに分かれて,通常学級に在籍する難聴の児童・生徒を支援する仕事(通級指導)に携わりながら,時折集まっては情報交換をしてきました。そんな中で,私たちが強く感じてきたのは次のようなことです。
難聴児・生徒は,通常学級で多くの友人と接し先生方から勉強を教えてもらう中で成長する。だから,私たちの仕事は,子どもたちが通級でやってきた時に指導するだけでなく,通常学級での生活を充実させることに最重点をおくべきだ。
こう考えて私たちはできる限り自分の教室を飛び出して,難聴児・生徒が在籍している学校や学級の先生方の許へ行き,色々と話をさせてもらったり,子どもの様子を聞かせてもらったりしてきました。その際に色々な資料を持っていくのですが,それは散逸しやすかったり,足りないものがあったりして,「しまった」と思うことも何度もありました。そういった資料をどこかでまとめられればいいなあ,と思ってきましたが,今回,長岡市言語親の会の支援をいただいて,これまで私たちが折に触れて作ってきた資料を整理し,再検討しこの冊子が出来上がりました。

<主な内容>
1) 30の項目
問題になりやすい事柄を30項目に整理しました。1項目は見開き2ページに渡っています。配列は「就学前」「小学校編」「中学校編」「基礎知識編」の順です。
2) トピックス
30項目で扱えなかった事柄を,「トピックス」として半〜1ページ程度にコンパクトにまとめ,何ヶ所かに分けて挿入しました。
3) 資料
コピーしてそのままお使いいただける資料を,巻末にまとめてあります。

目次
T 就学前 編
1 難聴の発見と早期教育
2 きこえの障害と言語発達
3 就学指導のシステムと通級による指導
4 難聴児とのコミュニケーション
U 小学校編
5 座席と板書
6 日常生活面での配慮は必要ない
7 友達とのかかわり
8 周囲の子どもへのはたらきかけ
9 危機管理(避難訓練など)
10 分かりやすい指示や発問
11 グループ学習での支援
12 作文や文章題の指導
13 音楽の指導
14 体育の指導
15 校外学習時の配慮事項
16 読書と学習指導
17 行事や集会の場面での情報保障
18 教室環境ときこえ
V 中学校編
19 思春期の入り口に立って
20 コミュニケーションと自己意識の改善
21 周囲の生徒へのはたらきかけ
22 難聴児の学習と学力
23 難聴生徒の英語学習
24 選択教科や総合的な学習への参加
25 進路問題と高校入試
26 難聴生徒の進路と高等教育
W 基礎知識 編
27 耳と聴こえのしくみ
28 音の構造と人間のきこえ
29 補聴器のしくみとはたらき
30 補聴器をめぐるトラブル


・価格 1冊 500円(送料別)
・送料 1冊:250円 2冊:350円 4冊まで:450円 5冊以上は当方で負担
・支払いはお送りする振込み票で郵便局から,手数料は当方で負担します。
*親の会や校内研修用で10冊以上の注文は割引になります。ご相談ください。

<注文はこちらへ>
長岡市言語親の会理解ハンドブック事務局
〒940-0093 新潟県長岡市水道町2丁目1-13 新潟県立長岡聾学校通級教室内
FAX:0258-39-5665  e-mail:nad-tsuq@niigata-inet.or.jp

「難聴児・生徒理解ハンドブック」注文書
氏  名  
発 送 先
□□□−□□□□

連 絡 先
電話:            ファックス:
電子メール:
冊  数 (        )冊

【目次】



ミニニュース
★補聴器業界からまた撤退・・・今度は,HOYA
ここ最近,補聴器の輸入総代理店等の市場からの撤退が続いている。先に撤退したセイコーなどは他のメーカーのOEMを扱っていたが,HOYAはReSound社製品を扱い,当初は独自のフィッティングツールなどで話題と注目を呼んだ。しかし,アメリカReSound社自体がGNグループに合併されてしまい GNReSound社となったことで,日本で販売できる補聴器はGNダナジャパンが販売している補聴器や,R社の補聴器と同じ補聴器になってしまった。ReSoundの補聴器は,一般の補聴器販売店では扱わず,系列販売店でしか扱わなかったし,フィッティング用ソフトも不世出であった。補聴器業界が寡占状態になることはユーザーにとって,利か不利か?。

★補聴器買い換え専門店がホームページを閉鎖
「みみだより」でも紹介した補聴器買い換え専門店のホームページが閉鎖された。某業界誌の影響が強かったとも聞く。通信販売で補聴器を販売・購入することは確かに問題は大きいかも知れない。しかし,様々な条件の下で様々な選択肢が消費者にはあっていいように思う。仮に補聴器の価格が補聴器単体の卸価+聴力測定等検査・評価料+調整料+アフターサービス料+店舗維持費等々と考えたとしよう。もし病院耳鼻科で購入した場合には,聴力検査や調整・評価は700点とか初回1000点,2回目以降500点等々点数化され請求され,ユーザーは支払うことになる。補聴器を病院で購入した場合にはそうした費用は二重請求されている場合もあるのではないだろうか。

★AVIRG研究会「センシング新技術とコミュニケーションへの応用」
日時:4月17日(木)14:00〜15:30
場所:東京工業大学大岡山キャンパス西8E号館10階大会議室
講演:「手話認識技術とその応用システムの開発」
    佐川浩彦氏 (株)日立製作所中央研究所ユビキタスメディアシステム研究部
概要:日立製作所中央研究所ではこれまで,手話における言語的特徴を考慮し,手指動
  作と非手指動作(手以外の動作)の情報を統合して手話文の認識を行うシステムおよび
  認識処理の各段階における個々の方式を提案し,プロトタイプシステムの構築を進
  めてきた。さらに,提案した手話認識技術を応用してユーザが利用可能なシステム
  の開発を行い,実証実験によりその有効性を確認している。本講演では手話や工学
  的な手話研究の概要を交えて,開発してきた技術および応用システムの紹介を行う。

★日立,胃部X線検査における聴覚障害者向け情報提供システムを開発
日立製作所中央研究所は,このたび,昭和大学と共同で,胃部X線検査における聴覚障害者向け情報提供システムを開発した。このシステムは,通常,検査技師が音声で伝える被検者への指示を,手話アニメーションと文字およびイラストを合成した動画像として,X線検査装置に取り付けた3つの液晶モニタに表示するもの。これにより,音声による指示を受けることが困難だった聴覚障害者も,検査技師からの指示を理解することが容易となり,安心して検査を受けることができるようになった。また,検査技師が,検査の途中で被験者の側に行って指示を与える必要がないため,スムーズに検査を進行することが可能という。手話アニメーションは,日立が開発した「手話アニメーションソフトMimehand(マイムハンド) II」を使用して作成している。
http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/2003/0325/index.html
マイムハンドについては http://www.hitachi.co.jp/Prod/comp/app/shuwa/

★FM補聴器「Extend-Ear」TX7,Rxシリーズ販売中止
GNダナジャパンが扱ってきたAVR社製FM補聴器「Extend-Ear」RxシリーズとFM送信機TX7が販売中止となった。製造元AVR社から,部品製造元よりの専用部品の入手不可能になり,やむを得ず生産の終了を決定せざるを得なくなったとのこと。同社によれば,現在,後継器種として,300MHz帯の新器種を発売予定しているが,時間がかかるという。修理は従前通り継続する。
なお,欧米では今や「Extend-Ear」の後継器種「Logicom-20」が市販されている。この新器種は270MHz帯の電波を使うので音質が良く電波も安定している。しかし,日本では電波法上,270MHz帯が使用できず,日本向けの特別仕様を製造せざるを得ない。とはいえ,特別仕様をオーダーしてもすべてがはけるだけに日本の市場は大きくないということで販売中止に至った。
Logicom-20 http://www.avrsono.com/PDFs/Logicom-20%20Product%20Data.pdf

★積善学園閉鎖に・・・
鳥取県立積善学園は,2004年3月末をもって閉園をなることになった。1946年の創設以来54年間,盲児173名,ろう児298名,計471名が巣立った。積善学園は閉園となるが,一部業務は鳥取県立鳥取療育園外来分室として継続するという。

★ソングバード,日本進出ならず・・・
使い捨てデジタル耳あな形補聴器「ソングバード」はアメリカで販売されて一時は話題となった補聴器。補聴器の主要部品を日本のスター精密が製造していることなどを「みみだより」で紹介した。この補聴器を日本でも市販開始すべく動いていた某社は日本の市場での販売は困難と決断し,総代理店契約を解除した。

【目次】



特集
  基準外でのデジタル補聴器の交付

デジタル補聴器の効能が次第に理解され始めている。より小さい(弱い)音を増幅することで,装用閾値が良く出てくること。やかましさや音響外傷を避けながらも,利得を確保できる点などにより補聴器フィッティングの幅を拡げつつある。とはいえ,価格は一部の機能限定形デジタルをのぞいて高価格である。家庭の事情によっては,「その補聴器にすれば・・・」ということがわかっていても,購入が難しい。福祉法で定められた補聴器にもリストがない。ということであれば,FM補聴器が出始めた頃と同じように,福祉法の基準にない補聴器,つまり「基準外」としてデジタル補聴器を交付申請できるのではないかとの考えに至る。
そこで今回は,この基準外交付が通っている都道府県の資料を掲載する。出所が判明するとその都道府県にご迷惑がかかる可能性があるので,元資料から内容や趣旨がかわならい範囲で改変している。
昨今の改正により,以前のように厚生省が基準外交付の判断をするのではなく,各都道府県が判断をするようになっている。かつては「ある県から当時の厚生省に申請した基準外交付の申請が通ったならば,当然,同じ資料による基準外交付の申請が通るのだから同じような資料で申請すれば良い」ということはなく,各都道府県の判断となるので,本資料と同じような資料を付けても通らない場合があることを承知しておいて欲しい。つまり,何をどのように判断し,決定するかは各都道府県の裁量であって,地域差があることが前提で,その中で地域の独自性を出す可能性も存在するからである。
参考)基準外交付に関しては=
http://www.normanet.ne.jp/~mimi/mimi409.html#HUKUSHI-03



1.某都道府県の判断
基準外交付にあたっては,下記の書類を用意すること。@医師の意見書(オージオグラムを含む),A言語聴覚士・聾学校聴能担当者等による補聴器装用状態の評価書(現在使用中の補聴器の調整状態・周波数特性等,および装用閾値,語音聴力検査などフィッティングの状態や評価の実態がわかるものと,基準外交付の申請を行う補聴器についての調整状態・周波数特性等,および装用閾値,語音聴力検査などフィッティングの状態や評価の実態がわかるもの)

考慮する条件
1)身体障害者福祉手帳の交付対象となる再判定不必要な聴覚障害児であること
2)以下の条件のうち,1つでも当てはまるもの
@応答可能な提示音圧下での補聴器装用下の聴取力が従来の補聴器に比べ,各提示音圧すべてについて20%以上の向上が見られること(聴取力とは,語音明瞭度,年齢によっては単語了解度を含むものとする)。
A語音聴力検査などの客観的データが得られない場合,デジタル補聴器による音声聴取の向上が期待できる系統的指導が行われる機関に在籍し,かつ日常使用しているコミュニケーション方法についても観察し,聴覚が有効に利用されている場合。
Bダイナミックレンジが狭く,従来のアナログ補聴器のコンプレッション回路では十分に圧縮が効かないために補聴器を有効利用できず,現に常時装用に至っていない場合。
C稀な聴力形のために従来の補聴器では困難と思われる場合。特に山型・低音障害型・高音急墜型のオージオグラムの子どもで従来の補聴器では常時装用に至っていない場合。
D既に上記基準によってデジタル補聴器を基準外交付された場合の再度の申請の場合は,音のイメージの維持のため,上記基準に至らなくとも,基準外交付の要件を満たしたものと認める。この場合も,日常使用しているコミュニケーション方法についても観察し,聴覚が有効に利用されている場合に限る。

2.某都道府県の申請書類例
ここでは各担当者が都道府県に出した書類のうち,上記Aに関する評価についての意見書がらみの資料である。前出の都道府県とは異なるので,前述の要件とは合致しない場合もある。



平成○○年○○月○○日
某小第×××号
 
意見書
 
―フルデジタル・ハイパワー耳かけ形補聴器を必要とする状態の意見書―
 
本校難聴通級指導教室において通級による指導を行っている下記児童は,高度難聴のため通常の補聴器では音の聴取に限界があります。授業や日常生活の場面での環境音・音声の聴取等をより高めるために,フルデジタル・ハイパワー耳かけ形補聴器(◎社 D )の装用が必要と思われます。
 
某 市 立 某 小 学 校
学校長  ○ ○ ○ ○
 
 
1 児童氏名      ○○○○(平成○年○月○日生まれ)
 
2 保護者氏名     ○○○○
 
3 児童の障害の状態  両側感音難聴(右耳 ○○dB 左耳 ○○dB)
               身体障害者手帳○級
 
4 児童の具体的状況
本児童は,重度難聴のため通常の補聴器では教室内の騒音がやかましく感じられたり,教師や友だちの話が十分に聞き取れなかったりするため,学校での授業や日常生活場面でのコミュニケーションなどにおいて不自由さを痛感している。
フルデジタル・ハイパワー耳かけ形補聴器(◎社D)は,ノイズ下でもクリアな語音了解度が得られ,音声環境の変化にも対応できる性能を持ち,本児童の学校における学習やコミュニケーションでの不自由さを補うために,本補聴器の装用はきわめて有効である。
 
書類作成責任者
 某市立某小学校 難聴通級指導教室
            教諭  ○○○○
 〒???−???? 某市×××町1−234
      TEL・FAX ???−???−1234



某県立身体障害者福祉センター
耳鼻科 ○○ ○○ 先生御侍医殿
 
ご紹介状(例)
 
いつもながら,当校に対しまして格別なるご厚情を賜りありがとうございます。
さて,当学校通級指導教室において指導を行ってきております○○○○さんが,デジタル補聴器(◎社 D)を装用したいと申しております。つきましては,デジタル補聴器について,ご高診下さいますようお願い申し上げます。
該当児は従来,アナログ補聴器(右耳○社 AA,左耳○社 AB)を装用しておりましたが,「先生や友達の話がよく聞こえない」「周りの音がうるさくて頭が痛い」などを訴え,「自分はどうせ聞こえないから」と学校の授業に対して消極的であったり,補聴器をはずしたがったりするような姿が頻繁に見られました。そこで,当校としては保護者と相談の上,雑音抑制機能付きのデジタル補聴器の装用を検討しておりました。
当教室において◎社 D を装用し(両耳),3音節単語了解度検査(幼児用)を実施したところ,最高明瞭度は変化ありませんでしたが,◎社 D では小さい音でも聴取率が高いことが明らかにされました。
 
使用した補聴器  提示音圧  3音節単語了解度検査(幼児用)
 
AA
AA

AB
AB

 83dBSPL
 73dBSPL
 83dBSPL
 73dBSPL
 84%(21/25)クローズドセット
 44%(11/25)クローズドセット
 84%(21/25)クローズドセット
 84%(21/25)クローズドセット
                                
また,家庭や学校では以下のような変容が認められました。
<音への気づき>
・虫の鳴き声に気がつく
・走行中の車の中から救急サイレンや隣の車の発進音,宣伝カー,焼き芋屋に気付く。
・部屋の中から外を走る大型車の音や,車のクラクション,自転車のブレーキ音に気付く。
<聴取能力の向上>
・電話での聴き取りが良くなった
・電気機器の音量を上げてもうるさがらない
・話す時自分の声の大きさを調整できるようになった
・ペットの鳴き声(小鳥,リス)を聞き取れるようになった
・玩具(ポケットゲーム)の音を楽しめるようになった
・補聴器のスイッチを自分で用途に合わせて調整している
・授業中の教師や友だちの話を聞き漏らすことが少なくなった
・小声で言った冗談なども聞き取れるようになった
<意欲・態度面の変容>
・頭痛を訴えたり,補聴器をはずしたがったりすることがなくなった
・楽器を以前より楽しんで弾いたり吹いたりするようになった
・小さな音もまず聞いてみようという意欲が出てきた
・前のように「どうせ聞こえないもん」という言葉を言わなくなった
・以前より補聴器を大事にするようになった
・今まで聞き取れなかった音に気づき,とてもうれしそうにするようになった
・何か音がすると「何の音?」と必ず聞くようになった
・集団でのゲーム(フルーツバスケットなど)を楽しめるようになった
・周りが騒いでも,うるさがらなくなった
 
◎社の補聴器Dが適応であれば,基準外交付での申請を希望されております。よろしくお取計らい下されば幸いです。
ご多用中とは存じますが,何卒御高診下さいますようお願い申し上げます。
 
平成○○年○○月○○日
某市立某小学校 難聴通級指導教室
           教諭  ○○○○
〒???−???? 某市×××町1−234
     TEL・FAX ???−???−1234

【目次】



お知らせ
  盲ろう児・者と共に歩む会第4回交流会

今回の交流会は網膜色素変性症について、お話を伺おうと思っています。あわせて自由交流もあります。みなさま、お気軽にご参加ください。

1.日時  2003年5月11日(日)
      午前9時30分〜11時30分
2.会場  福祉プラザ9階大広間
3.内容  網膜色素変性症について(色川隆雄さん)
      自由交流
      ブリスタ体験
  ※参加を希望される方は、5月6日までに下記までご連絡ください。
  当日の参加でもOKです。
  連絡先 児島節子 FAX:022-243-0821 e-mail : m-koji@aurora.ocn.ne.jp

【目次】



衛星劇場
  日本語字幕入り映画放送

5月  男はつらいよ 柴又慕情           4日(日)AM 7:00〜
    刺青                   11日(日)AM 7:00〜
    白い犬とワルツを             18日(日)AM 7:00〜
    青い空                  25日(日)AM 7:00〜
 
6月  男はつらいよ 寅次郎忘れな草        1日(日)AM 7:00〜
    羅生門                   8日(日)AM 7:00〜
    早春                   15日(日)AM 7:00〜
    釣りバカ日誌12・史上最大の有給休暇    22日(日)AM 7:00〜
    アイ・ラブ・フレンズ           29日(日)AM 7:00〜
 
字幕入り放送へのご意見/リクエスト等は 衛星劇場編成部まで FAX:03-5250-2324
受信に関する照会は,パーフェクTV FAX:03-5802-8438か,上記衛星劇場まで。

【目次】



関連学会誌・研究会誌 Contents

(一般的に目次には著作権はございません)

★日本音響学会誌 59(1)2003
「末梢聴覚系の働き」和田仁,32-35
「耳小骨可動性の計測手法」小池卓仁・和田仁,36-39
「外有毛細胞の運動能と蝸牛増幅機構」欠畑誠治,40-45
「蝸牛3次元モデルと基底板振動」深澤達也,46-51
「初期聴覚系における神経発火の時間−周波数応答パタン」牧勝弘・伊藤一仁ほか,52-58
 
★日本音響学会誌 59(4)2003
「雑音下の信号聴取と聴覚末梢における遠心性コントロール」川瀬哲明 224-229
「乳児の言語音声獲得」梶川祥世 230-235
 
★AUDIOLOGY JAPAN 45(6)2002
「難聴者による聴覚障害の自己評価−聞こえについての質問紙の解析」鈴木恵子・原由紀
・岡本牧人,704-715
 
★AUDIOLOGY JAPAN 46(1)20031
「一般聴取者が受聴する重度聴覚障害者の構音に関する一考察」加藤靖佳 44-51
「遅発性ストマイ難聴例に対するDPOAE測定」内田真哉,鈴木敏弘,久育男 52-56
「剣道経験者における標準純音聴力検査結果と耳音響放射との関係」藤本由紀子ほか 57-65
「成人と新生児・乳児における各種耳音響放射の相互関係について」西嶋隆ほか 66-73
「一側性感音難聴児の研究−聾型以外の症例について−」細谷有美子 81-89
 
★聴覚障害 2月号 623,2003
「小児人工内耳症例からみる言語発達」高木明,4-9
「人工内耳の手順と原理」渡辺真一,10-20
「新生児聴覚スクリーニング検査」丸山剛史,21-32
「人工内耳装用児の指導について」両角五十夫,33-38
 
★特別支援教育(9)2003
「論説 盲・聾・養護学校のセンター的役割−特別支援教育を推進するために−」宮崎英憲,4-9
「提言 盲・聾・養護学校におけるセンター的機能の現状−実態調査の結果概要をもとに−」
 滝坂信一,10-14
「多様な教育相談活動の展開 聾学校の早期教育相談におけるセンター的機能」
 北海道札幌聾学校,18-21
「研究最新情報 盲と聾の二つの障害を重複した“盲ろう"の指導の最前線」中澤恵江,58-61
 
 
★聴覚言語障害31(1)2002
「楽曲の聴取における音圧パターンの役割」杵鞭宏美・須藤貢明,1-18
「聴覚障害生徒における擬音語・擬態語の理解」南出好史・沖田めぐみ・善亜沙美,19-26
「聴覚障害生徒による“倍”文の理解」末崎譲・南出好史,35-46
 
★実践障害児教育 2002-12
「人物発掘 井上孝治−耳が不自由だから天の声が聞こえた天才写真家」新井郁男,33-35
 
★働く広場 2002-12
「バリアに挑むBやらせてみよう〜聴覚障害者を雇用する事業主へ〜」中園秀喜, 17
 
★音声言語医学  44(1)2003
「人工内耳によって発達する聴覚性情動的認知」野中信之,村尾卓也,酒井俊一,中島誠,
馬場朱美,西岡奈美江,山口忍,國吉京子,川野通夫,内藤泰,伊藤壽一 15-22
「韓国と日本の人工内耳装用幼児の発達」金賢煕,山口忍,李相欣,内藤泰ほか 30-35
 
★特殊教育学研究 40(5)2003
「障害学生との交流自己効力感汎用型尺度の妥当性の検討
 −聴覚障害及び視覚障害条件の影響について−」河内清彦 451-462
「聴覚障害児における補聴器装用下の聞こえと聴覚理解の自己評価」中川辰雄 471-478
「聴覚障害児の統語能力」相澤宏充 535-540
 
★近畿教育オーディオロジー研究協議会集録 2002
「聴覚障害児の発達と今日的課題」吉野公善 3-19
「聴覚障害幼児の教育について〜聴覚活用とコミュニケーション〜」中村公枝 20-48
 
★ろう教育科学 44(4)2003
「0歳児の言語習得と聴覚障害」正高信男 207-218
「子どもが学び方を学ぶ総合
 −各学年における発展性を考慮した学びの重点化と単元作り−」石川隆之 219-224
「こばと聾学校の個別の指導計画」石井衷 225-238
「聾学校における人工内耳装用児の指導について」筒井秀俊 239-244
「リアルタイムでルビを付加した字幕の効果に関する研究」
 小林正幸,西川俊,石原保志,森山利治 245-258 
 
★ヒューマンインタフェース学会研究報告書 4(4)
「手話対策における話者交替時の信号表出に関する実験的検討」寺内美奈ほか 53-58
「手話動画像の効率的符号化について」中園薫 59-64
「国際会議における聴覚障害者支援を目的とした音声字幕変換システムの設計」加藤士雄,
 井野秀一,永井謙芝,渡邉括行,塀耕太郎,似鳥寧信,高杉弘子,服部裕之ほか 65-70
 
★The Volta Review 102(4),2000
「Cochlear Implantation in Young Children: Effects of Age at Implantation and Communication Mode」
 Karen H.Kirk,Richard T.Miyamoto, Elizabeth A.Ying, Amy E.Perdew and Helen Zuganelis,127-144
「Measurement of Articulation in Pediatric Users of Cochlear Implants」
 Steven B.Chin and Cara Lento Kaiser,145-156
「Consonant Cluster Production by Pediatric Users of Cochlear Implants」
 Steven B.Chin and Kevin R.Finnegan,157-174
「Speech Intelligibility of Profoundly Deaf Pediatric Hearing Aid Users」
 Mario A.Svirsky, Steven B.Chin, Richard T.Miyamoto,Robert B.Sloan and Matthew D.Caldwell,175-198
 
★American Journal of AUDIOLOGY 11(1)2002
「Digit Speech Recognition Thresholds (SRT) for Non-Native Speakers of English」
 Ishara Ramkissoon, Adele Proctor, Charissa R. Lansing, and Robert C. Bilger 23-28
「Low-Frequency Gain Compensation in Directional Hearing Aids」
 Todd Ricketts and Paula Henry 29-41
 
★THE HEARING JOURNAL
「Selecting material for impression taking: The case for standard-viscosity silicones DesSpite the
 popularity of soft impression material, the author explains why he believes that
 standard-viscosity silicone is the best choice for a securely and comfortably fitting hearing aid.」
 Chester Z. Pirzanski 45-53
「A directional-plus-omni system : Because of their ability to improve the signal-to-noise ratio,
 directional-microphone hearing aids are becoming increasingly popular. The authors describe
 one approach.」 August Hernandez, Oleg Saltykov, George Doudoukjian, andMark Lin 54-57
 
★THE HEARING JOURNAL 2003
「Study measures impact of hearing aids plus FM on the quality of life Preliminary results from
 an investigation show improved quality of life in a group of hearing-impaired patients fitted
 with hearing aids plus FM systems.」
 M. Samantha Lewis, Carl C. Crandell, Michael Valente, Jane Enrietto, Nicole V. Kreisman,
 Brian M.Kreisman, and Lisa Bancroft ,30-33
 
★Journal of the American Academy of Audiology 13(7)2002
「Performance of Custom-Fit versus Fixed-Format Hearing Aids for Precipitously Sloping
 High-Frequency Hearing Loss」Therese C.Walden, Brian E.Walden, and Mary T.Cord 356-366 
 
★THE HEARING JOURNAL 55(11)2002
「Otoacoustic emissions in the diagnosis of hearing disorder in infants」Yvonne Sininger 22-29
「Using visual reinforcement audiometry in the assessment of hearing in infants」
 Judith E. Widen and Gwendolyn M. O'Grady 30-37
「Is functional gain really functional?」
 Patricia G. Stelmachowicz, Brenda Hoover, Dawna E. Lewis,and Marc Brennan 38-42
「Selection and evaluation of amplification for infants」Kathryn Laudin Beauchaine 43-51
「What parents want to know at diagnosis and during the first year」
 Jack Roush and Melody Harrison 52-54
「Empowering parents to help their newly diagnosed child gain communication skills」
 Amy McConkey Rabbins 55-59
 
★The Volta Review 103(1)2001
「The Role of Early Language Experience in the Development of Speech Perception and
 Language Processing Abilities in Children with Hearing Loss」
 Susan Nittrouer and Lisa Thuente Burton 5-38
「Management of Children Using Cochlear Implant and Hearing Aids 」
 Teresa Y.C.Ching,Colleen Psarros,Paula Incerti and Mandy Hill. 39-57
 
    ※英文誌はOCRで読んでおりますのでミススペルが生じます。お許し願います。

【目次】



■■ひとこと■■

聾教育は教師主導で展開されてきた。熱き教師が早期教育,最早期教育,教育へ科学を(オーディオロジー),統合教育等々を切り開いてきた。そのフロンティア精神は他の障害分野に先んじてきた。しかし,余りに教師が先導的に展開してきたがゆえに,親が育たなかった,育つ場がなかったという悲しい結果を招いた。近年の手話を巡る動きは,教師先導の聾教育に対し,教育を受けてきた側,あるいは親の運動による先導が多いが,過去の聾教育の進め方に対し反動的な動き,むしろ教育という公的サービスは,サービスを施す側よりも,サービスを受ける側に選択決定権があるという私の持論からすれば,当然な結果であろうと思うことが多い。
一方,全国難聴児を持つ親の会は歴史的に難聴児に対する教育的措置が十分ではなかったゆえに運動体的側面を持ち,地方公共団体等への陳情活動などを積極的に行ってきた。比して,聾教育の諸団体として,聴覚障害児親の会や聾学校PTAがあるが,前述したとおり教師先導で既成事実から制度化に結びつけてきた実績が多いために,団結,共同して社会的運動を起こすことは稀である。
さて,同じく難聴関係の教育的組織として全難言,全国公立学校難聴・言語障害教育研究協議会がある。毎年の大会では,運動目標が掲げられ,要望活動なども行われている。比して,聾教育関係では全日聾研があるが,研究会という文字通り(皮肉を込めて)非常に真摯に研究的,研修的である。各校の実践を出し合い,平穏な質問が出る,あるいは聾学校の勤務年数が少ない教師が質問すれば,優しく応えてくれる「平和な園」である。しかし,それでよいのだろうか。他に同様の会がない以上,様々なこの教育における諸問題を解決するために,例えば,特別支援学校,総合免許状についてディスカッションの場を設けるとか,機械的人事異動を善しとするか改善すべきとするか等々議論し,大会スローガンを立て,文部科学省に陳情するというような社会的運動ができる組織としての任を担わせても良いのではないかと思うのである。そのためには,各地の地方研を含めて校長会主導ではなく,各校選出の理事が中心となり,まず会長を会員の選挙によるものにするなど民主化を図らなければなるまい。かつて聾教育はすべての教育の先導者であった。しかし,昨今,実践の場から持ち上がるボトムアップ的な勢いがなく,上から下りてくるトップダウンの平均化,横並び主義のために引きずり降ろされているような気がする。
現場の教師の意見・考え・実践力を上に吸い上げていくシステムを早急に作り上げて行かなくてはなるまいと考えるのは私だけであろうか。

【目次】



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