2003年3月10日発行(第2・4月曜日発行)
News Source of Educational Audiology
聴能情報誌
みみだより
第3巻
第450号
通巻535号
編集・発行人:みみだより会、立入 哉 〒790−0833 愛媛県松山市祝谷5丁目2−25 FAX:089-946-5211
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【目次】第450号
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製品紹介
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ハンズフリーラウドスピーカ 「ファレヴォ」 |
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Sound Field Amplificationという用語をご存じであろうか。音場増幅補聴援助システムとでも訳しているが,要するに拡声システムで,ノイズの大きな場所や,聴覚障害児が学ぶ場所で教師の話すことを拡声してスピーカから出すシステムのことを指す。
さて,聾学校の現場で「声をつぶす」先生が多い。ついつい大きな声を出し続けて,のどを痛めてしまうという例である。また教室であればとにかく,運動場や少し広い場所だと教師の声が拡散してしまい,子どもに届かないということがある。
このために Sound Field Amplificationは,欧米では広く用いられており,聴覚障害児が学ぶ教室の天井にスピーカを埋め込んでしまう方式や教室の四隅にスピーカを取り付ける方法などがとられている。
日本では余りこのようなシステムが使われていない。しかし,今後,「教師の声の健康」のためにも,また通常学級で学ぶ子どもにとってFM以外の補聴システムとして拡がっていくことが望まれる。一方,適切な機器が余りなかったのも事実である。
今回紹介する[ハンズフリーラウドスピーカ「フォレヴォ」]は,主に小・中学校での体育の指導時に使用することを想定した Sound Field Amplification機器である。聴覚障害児に用いるのにはやや音圧が弱いかも知れないが,25000円程度と安価でもあり,騒々しい教室の中で教師の声を少しでも際だたせるためには有用な製品であると思う。
販売元・資料請求先:ミドリ安全(株)FAX:03-3446-2475
充電式(フル充電で約4時間使用可能),ホイッスル(130dBSPL)機能付き。
なお,新教材整備品目「教材機能別分類表」に対応している。
スピーカ直前の周波数特性(input 60dBSPL) |
装着例 |
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【目次】
★「目で聴くテレビ」受信機給付のお知らせ
「目で聴くテレビ」受信機が新しく、4月1日から福祉法で定める「日常生活用具」に指定されます。(株)アステムが市販している受信機「アイドラゴン」はこれまで字幕文字放送アダプタ機能,「目で聴くテレビ」の受信機能に加えて,一般放送のリアルタイム字幕手話放送の受信機能,緊急放送受信機能が含まれています。もちろん字幕デコーダの機能としてだけでも利用できます。給付対象は,アイドラゴン本体に加え,CS用アンテナも含まれます(消費税免税)。
またはアステムカスタマーセンター FAX:06-6242-6631
【目次】
製品紹介
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携帯電話用シルエットインダクタ 「T-Link」 |
シルエットインダクタとは,耳かけ形補聴器と同じような装用方法で装着する補聴器用送信磁気コイル。主にFM受信機やCD,テレビから磁気コイルの原理で音をTスイッチにセットした補聴器に伝える時に用いている。
T-Link(ティーリンク)は,携帯電話の端子に接続し,携帯電話の音を磁気コイルが内蔵されている補聴器で聞くことができる。またコード途中にはマイクがあり,このマイクで話者の声を携帯電話に送ることができるため,ハンズフリーで携帯電話での会話ができる。
デザインが非常に良いので,シルエットインダクタとしても使いたい。その場合は,T-Linkは携帯電話用のプラグなので,プラグの改造か,別コードが必要。
また発信用コイルは非常に小さく,パワーはやや弱い。強いコイル出力が必要な場合は,今までのシルエットインダクタでなくてはならない場合もある。
型番:SC2006 販売価格:7140円(消費税込)
株式会社自立コム 〒150-0044 渋谷区円山町28-4 Fax:03-3476-2425
【目次】
製品紹介
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聴取補助システム付きラジオ「Victor RA-BF1」 |
日本ビクターは「聴取補助システム」付きのラジオを市販開始した。1〜12chのTV/FM/AM電波が受信できる。「聴取補助システム」として,「ゆっくり機能(話速変換)」「はっきり機能」「聞き直し機能(繰り返し再生)」の3つの機能を持っている。
特に「ゆっくり機能(話速変換)」は,NHK放送技術研究所が開発した技術を応用したもの。この機能は製品への応用が待ち望まれていただけにうれしい。実際に聞いてみるとそれほど違和感なく,話速が少しゆっくりになるのがわかる。ニュースのアナウンサーの声,多少背景に音楽があってもドラマのセリフなども話速がゆっくりになるには驚かされる。「はっきり機能」は,要するにノンリニア処理。「聞き直し機能」は,そのボタンを押すと,押した前10秒間の放送内容を繰り返し聞くことができる機能である。
話速変換技術がラジオ等に用いられたことは本器種が初めてであり,今後,テレビなどへの応用も期待されよう。初発だけに残念なこともある。ラジオにつきもののチューニングが本器種は余り良くできていない。例えば,スケルチ機能がなく,放送がない周波数では結構強いザーという雑音が聞こえる。「ゆっくり」ボタンを押したままチューニングをしようとするとうまくいかないのだ。結局,聞くときに「ゆっくり」ボタンを押す→他局を聞きたいときは「ゆっくり」ボタンを解除→チューニング→選局できたら再度「ゆっくり」ボタンを押すという操作が必要である。「同調」ランプが消えているときや,選局つまみが動かされているときは自動的に「ゆっくり」ボタンが解除されるといった一工夫が欲しい。また,電池の格納が難しく,奥の電池は右側がマイナス,手前の電池は右側がプラスにセットしなくてはならず,また電池取り出し用のリボンを敷き入れないといけない。高齢者用として設計され,文字,ボタン,各種操作部などが非常に良くできているだけに,本当に惜しい。
チューニングがうまくできていないので,例えば,テレビの音をFMで飛ばし,その電波に固定しておき,受信機として使うなどの方法も考えることができる。
【目次】
製品紹介
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マルチ増幅器「オレイユ」,ループアンプ「大耳」 |
「ポケット形補聴器」と分類するには惜しい増幅器。本器の特徴は,音の入力部であるマイクと出力部であるイヤホンを自由に選ぶことができることにある。今までのポケット形補聴器は補聴器用のイヤホンから選ぶことになり周波数範囲の制限などがあるが,「オレイユ」はすべて自分で選ぶことができるという点に大きな利点がある。
側面の外部入力端子
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「オレイユ」本体にも内蔵マイクがあるが,右の上部操作部の写真通り,マイクジャックがあり,ここにタイピンマイクであるとか,超指向性マイクなどを取り付けることで,集音の性能を上げることができる。また,磁気ループからの信号が標準設定でONになっており,レベルスイッチを3にすることでTコイルを切ることができるというループ標準対応という設定になっている。その他,外部入力端子が通常のピンプラグになっており,入力感度の設定も3段階で可変できる。これも様々な機器との接合を強く意識した設計のためと思われた。
「オレイユ」内蔵マイクから入力し製品付属のイヤホンで出力した周波数特性を図に示す。単4電池を3ケ使用。4.5Vで駆動することで,豊かなアンプ構成が組めていることも特徴。また電源にはACアダプタも使用できるなど,従来の補聴器のイメージとはずいぶん違い個性的な増幅器になっている。
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狭帯域イヤホンでの特性 |
ループアンプ「大耳」
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ループアンプ「大耳」も,ユニーク。12V駆動,126gと非常にコンパクトな作りになっている。これに3本のコンデンサマイクが接続できるので,有線マイク3本を接続すれば簡単にループによる会議システムが組める。また外部入力端子も備えているので,FM送受信システムと組み合わせた会議用システムとしても良いし,テレビに接続してテレビループとして用いることも可能である。
ループは1回路10ターンで円周20mのフラットケーブルが付属する。フラットケーブルの接合もコネクタを組み合わせるだけで良く,簡単に敷設が可能である。またフラットケーブルなので,床にテープで貼ってしまうと足に引っかかることも少なく,使い勝手も良い。
今までループを敷設しようとするとアンプやマイクミキサーなど,そこそこ重い荷物を持っていかなくてはならなかった。この点,「大耳」システムは,アンプ,ケーブル,ACアダブタ,マイクのセットでも1kgに満たない。まさに携帯できるループシステムとして難聴児者が参加する場で利用できそうだ。
「オレイユ」「大耳」とも,オープン価格。販売元は有限会社コパン。
〒212-0013 神奈川県川崎市幸区堀川町66-20 川崎市産業振興会館12F-E
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