2002年7月8日発行(第2・4月曜日発行)

News Source of Educational Audiology

聴能情報誌  みみだより  第3巻  第437号  通巻522号


編集・発行人:みみだより会、立入 哉 〒790−0833 愛媛県松山市祝谷5丁目2−25 FAX:089-946-5211
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立入 哉 :h-tachi@js2.so-net.ne.jp


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【目次】第437号

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お願い
各校で昨年度の研究紀要ができあがっておりましたら編集部宛てご寄贈願います
認定講習情報募集:県教委から要項が届きましたらスグ編集部宛てご連絡下さい
認定講習会最新情報は, http://www4.justnet.ne.jp/~h-tachi/kousyuu.htm をチェック!


聾学校教員免許状をとろう!


現場の教員が聾学校教員免許状を取得するには大きく下記の方法があります。

@内地留学で大学院に入学する→修士の学位と聾学校専修免許状が取得可能
A内地留学で大学特別専攻科に入学する→聾学校一種または聾学校専修免許状が取得可能
B内地留学で国立特殊教育総合研究所に入学する→聾学校免許状が取得可能
 (派遣期間や既に取得している免許状によって取得免許状の種が変わる)
C認定講習会を受け、6単位を取得すると、聾学校二種免許状が取得可能
 単位の追加により、一種免許状も取得可能
D特殊教育教員資格認定試験に合格する→聾学校養護訓練一種免許状が取得可能


★富山県:障害児教育概論 8月29〜30日 武蔵博文 45名
   ただし,講義内容はあくまで養護学校を中心としたもので,定員を超える申
   込があった場合は養護学校の免許取得希望者を優先する。
 *申込期限:7月15日(月)必着
  申込先:〒930-8501(住所不要)  富山県教育委員会教職員課 業務係
      TEL:076-444-3439 FAX:076-444-9619
 
 
今年は,上記のような「第一欄」の講義が多く開催される傾向が強かった。ご存じのように,前回の教育職員免許状の改正により,第一欄「教育の基礎理論に関する科目」と規定され,障害児すべてに関する内容をもって,どの免許状(盲・聾・養護)にもカウントできる欄となった。つまり,第一欄の講義による2単位は,どの免許状取得のための単位としてもカウントでき,もって特殊複数免を取得しやすくしようという目的である。一般的には「心身障害児教育概論」などの総合的科目名での開設が多い。
もちろん,第一欄のみで免許を取得することはできず,盲免,聾免,養護免のためには,第二欄「心理・生理及び病理に関する科目」,第三欄「教育課程及び指導法に関する科目」における各領域固有の講義を受講しなくてはならない。
 
近年,ある県のように聾学校に外部講師を呼び,そこで2日間の校内研修会をする。これを認定講習としてしまう方法も多くなりつつある。既に免許を取得している教員も単位には関係ないが参加し,校内の研究会という側面もあり,非常に有効な手法と思われる。認定講習の講師は(旅費の問題はあろうが)一人である必要もなく,また連続した日程である必要もない。つまり,年に外部講師を呼ぶ校内研究会を2回開催し,単位認定していく方法も手法としては考えていっても良いのではないだろうか。

【目次】



研究会開催
 ろう教育科学会 第44回大会

1.テーマ  「求められる聴覚障害児教育」
        −教育課程の改訂で取り組まれている実態と課題−
2.会 期  8月5日(月)〜6日(火)
3.内 容 
 5日午前 研究発表
   午後 特別講演 「聾学校における通級指導」加藤登美子
        講演 「聴覚障害とことばの習得」正高信男
 6日午前 ショートレクチャー「総合的な学習の時間」石川隆之
               「個別の指導計画」石井衷
               「人工内耳装用児の指導」筒井秀俊
   午後 ろう教育科学会第44回総会
      シンポジウム(テーマ「自立活動」)
4.会 場  大阪医専 大阪市北区大淀中1−10−3(JR大阪駅より徒歩8分)
5.申込方法  午前9時より当日受付(事前申込の必要は無し)
6.参加費  5000円(学生は2000円)
7.照会先  〒591-8034 堺市百舌鳥陵南町1 大阪府立堺聾学校内
      ろう教育科学会事務局 中野茂彦 TEL:072-257-5471 FAX:072-257-3310

【目次】



講習会開催
 ろう教育科学会 講習会

1.テーマ  「心を育て,ことばを育てる」
          −社会自立を目指した読み書きの指導−
      講師:久米武郎先生(現・三浦半島地区教育文化研究所所員,
      神奈川県聴覚障害者福祉センター言語教室講師,元横須賀市立ろう学校教頭)
2.期 日  8月7日(水)
3.会 場  大阪医専 10階 マルチルーム 大阪市北区大淀中1−10−3
4.参加費  5000円
5.申込方法   郵便振替にて参加費の振込をする。
       振込先,郵便振替「00980-8-310105 ろう教育科学会」。
       通信欄に「講習参加希望」の旨と所属先名,住所,氏名を記入のこと(定員:70名)
6.申込締切  7月26日(金)
7.照会先  上記,ろう教育科学会事務局と同じ

【目次】



研修会開催
 九州地区 教育オーディオロジー研修会
          〜聴覚活用のために〜

聴覚障害児教育を担当される先生方に基礎的な知識や技能を研修していただくために,下記研修会を行います。ぜひ多くの先生方のご参加をお待ち致しておりま
 
1.期 日  2002年7月27日(土),28日(日)
2.内 容
7月27日(土) 7月28日(日)
記念講演 少人数講義1 記念講演 少人数講義2 少人数講義3
13:05〜14:35 14:45〜16:45 9:30〜12:00 13:00〜14:30 14:45〜16:15
記念講演
「長崎ろう学校の聴能担当として,過去を振り返り,これからの聴覚活用教育を考える
−ろう教育30年で見えてきたこと−」

長崎県立聾学校
    田中英雄先生



 
聴覚障害児の
きこえと補聴器
(基礎講座)
 
記念講演
「補聴器と人工内耳の(リ)ハビリテーション
〜幼児期の聴覚管理とAuditory-Verbal Therapy(聴覚活用教育)の重要性について〜」

神田耳鼻咽喉科長崎ベルヒアリングセン
ター 神田幸彦先生
 
聴力検査法
(気導聴力検査
・音場聴力検査)
補聴器の特性
検査と補聴器の
調整
 
聴力検査法
(気導聴力検査
音場聴力検査)
補聴器の特性
検査と補聴器の
調整
補聴の評価と
聴覚学習
 
音場聴力検査と
補聴器の特性
検査
補聴の評価と
聴覚学習
 
デジタル補聴器
とその調整
 
補聴器の特性
検査と補聴器の
調整
 
デジタル補聴器
とその調整

 
補聴器フッティング事例

 
 
聴覚障害児のきこえと補聴器(基礎講座) きこえの障害や、補聴器についての基礎講座です。講義が中心となります。
聴力検査法(気導聴力検査と音場聴力検査) 実際にオージオメータを操作しながら、聴力検査をします。また、実際に騒音計の操作も行います。
音場聴力検査と補聴器の特性検査 音場での聴力検査を実際に行います。また、補聴器の特性検査装置の操作について実習します。
補聴器の特性検査と
補聴器の調整
補聴器の特性検査装置の操作について実習します。また、補聴器の機能を知り、聴力にあわせての調整を実際に行います。
補聴の評価と聴覚学習
 
補聴の状態を評価する方法や、実際に行っている聴覚学習の実践を紹介します。
デジタル補聴器とその調整 デジタル補聴器についてその仕組みや機能などについて説明します。また、実際にその調整に仕方についても説明・実習します。
補聴器フィッティング事例 補聴器のフィッティングについて事例を示しながら具体的に学習します。また、参加者の方の事例について学習することも可能です。

※1日目終了後,講師の先生方を囲んで懇親会を計画しております。ぜひご参加ください。
 
3.会費
2日とも参加  3,500円
27日(土)のみ参加  1,500円
 
28日(日)のみ参加  2,000円
講演会のみ参加  1,000円
                                            
4.会 場  長崎市民会館(長崎市魚の町5番1号 TEL:0958-25-1400)
5.宿泊先  宿泊先は各自で確保されてください。
6.申込方法・照会先
申込用紙にご記入の上,7月21日までに,郵送かFAXでお送りください
         〒812-0023 福岡市博多区奈良屋町1−38 福岡市立博多小学校 田村元美
         FAX:092-845-5300  (お問い合わせもFAXでお願い致します)
 
参加申込用紙
 住所(〒□□□−□□□□) 

                      (TEL:             )
 フリガナ                     

 氏名

 勤務先

 職名
勤務先住所(〒□□□−□□□□

                      (TEL:             )
受講したいと思う時間に○をつけてください。実習のグループ分けの参考にします。
7月27日(土) 7月28日(日)
13:05〜14:35 14:45〜16:45 9:30〜12:00 13:00〜14:30 14:45〜16:15

記念講演


 長崎聾学校
  
  田中英雄先生






聴覚障害児の
きこえと補聴器
(基礎講座)
(  )

記念講演


神田耳鼻咽喉科
長崎ベルヒアリ
ングセンター 
 
  神田幸彦先生




聴力検査法
(気導聴力検査
音場聴力検査)
(  )
補聴器の特性
検査と補聴器の
調整    
(  )
聴力検査法
(気導聴力検査
音場聴力検査)
(  )
補聴器の特性
検査と補聴器の
調整    
(  )
補聴の評価と
聴覚学習

(  )
音場聴力検査と
補聴器特性検査
(  )
補聴の評価と
聴覚学習
(  )
デジタル補聴器
とその調整 
(  )
補聴器の特性
と補聴器の調整
(  )
デジタル補聴器
とその調整 
(  )
補聴器フッテ
ィング事例
(  )
講演だけ参加希望
(   )

講演だけ参加希望
(   )


27日 懇親会    参加  ・  不参加  (どちらかに○)

【目次】



夏来る!
 」対策特集

1.まずは,汗から守る・・・
★布サック(製品)= 綿でできたサックを補聴器をかぶせるもの。
布サック
綿が外部からの汗を吸い取り,補聴器内部に汗が侵入するのを防ぐ。今年,福山の補聴器販売店が新たな製品を出してきた。いわゆる指包帯と同じようなもので,両端にはゴムがあり,ピシッと巻くことができる。価格は送料込みで1袋10本入りで1000円。
 
注文先=フクナガメディカル補聴器センター
注文先FAX:084−931−0023
こちらに 必要袋数,発送先,氏名を送信すること。
 
2.補聴器を使わないときは必ず乾燥を
汗対策は「とにかく乾燥させること」
上記の方法はあくまでも侵入を少なくする方法で,一度入ってしまった汗には逆効果。補聴器を使わないときは,一時を惜しんで乾燥させるべし。
 
★いいシリカゲルを使う = 煎餅の袋の中のものなどを使わない。青々とした良いシリカゲルを調達すること。十分な量(少なくとも100g以上)をタッパの中に入れ,その中に補聴器を置く。
 
シリカゲル購入先 = 50g×260パックで 13,000円:取り扱い 直販
不織布に梱包された状態での,3%混ゲル(透明に3%のコバルトブルー)50グラム入りを260パックで13,000円。塩化コバルトを使用していないので,加熱時に塩素ガスが出ず,再利用時が可能。
注文先:まちづくり福祉推進ネット 〒562-0044 箕面市半町4-2-8
       TEL 0727−24−2639,FAX 0727−24−2074
 
 
但し,補聴器用電池は乾燥剤の中に入れないこと=寿命が短縮する。
乾燥容器のふたにテープ付きの板磁石(良く聾学校で磁石黒板に使うものです)を貼っておき,磁石の力で電池を付けておくようにすれば良いのです!。

【目次】



CD紹介
 カード式・発音指導の手引き

このカード式発音指導の手引きは1991年から1993年にかけて3巻に分けて編まれた。発音指導にあたっては,全身的な活動や遊びの中で感覚運動を養い,神経の働きを活発にし,模倣能力を高めるとともに,特に以下の3点を大切にして行いたいと考えた。
(1) 子供と指導する人との信頼関係
(2) 明るく自然な声を出させる雰囲気
(3) 根気よく繰り返しの練習
毎日少しずつの発音指導の積み重ねをねらい,B6判のカード 350枚ほどにまとめた。特に,初心者にも分かりやすくするためにイラストも入れて編集した。いわば本校や聾教育界で長年培ってきた発音指導法の集大成である。
その後,聾学校や聴覚に障害をもつ子供たちを取り巻く状況も変化し,教育の場で「発語・発音指導」に割かれる時間が少なくなりつつある傾向もみられる。それにともなって,発語・発音指導技術そのものも忘れられかけている状況にあることも否定できない事実である。何とか,聾学校に伝わる発語・発音指導技術を残しておけないかと考え,今回CD-ROM化することとなった。
CD-ROM化に関しては豊橋ゴールデンロータリークラブの助成により,作成の運びとなった。本校の新転任の教員や希望する保護者に配布しているが,他の聾学校などでも希望されれば配布できる。
 
申込先:郵便局の青色用紙(振込料金依頼者負担)でご送金ください。
口座番号:00870-2-20022 口座名義:指文字&キュー・サイン開発プロジェクト
カード式・発音指導の手引き
1枚につき実費(送料込み)で500円です。 

連絡先:愛知県立豊橋聾学校 FAX:0532-47-7545

【目次】



講習会開催
 福岡県立久留米聾学校 第6回 聴覚障害教育夏期講習会

1.期 日 2002年7月24日(水)〜25日(木)
2.会 場 福岡県立久留米聾学校
3.対 象  聴覚障害児が在籍する幼稚園,保育所,小学校,中学校,高等学校の教員,
       及びことばの教室の教員,交流校教員,聾学校教員(経験の浅い方),
       その他関係者(※定員100名)
4.参加費 1000円(資料代等)
5.日 程 第1日目(7月24日)  《聴覚障害教育基礎講座》
        9:00〜 9:30 受付(玄関ロビー) 
        9:30〜10:20 公開授業(幼児教育相談,幼稚部,小学部,中学部)
       10:30〜10:45 開講式(プレイル−ム)
10:45



11:55
 
12:45



13:55
14:05



15:15
15:25



16:35
講座A
発音・発語指導T

<発音指導の概論と母
音,パ・バ・マ,タ
行音についての演習>
講座C
聴覚障害児と障害認識

<障害認識についての
概論と事例報告>
講座E
きこえと補聴器について

<聴覚障害児のきこえや補
聴器についての概論的な
話>
昼   食
講座B
発音・発語指導U

<カ行,サ行音,ナ行
音についての演習>
講座D
教科指導の実際

<聴覚障害児の教科指
導上で配慮することや
実践報告>
講座F
最近の補聴器とFM補聴器

<デジタル補聴器,人工内
耳,FM補聴器についての
演習>
講座A
発音・発語指導T

<発音指導の概論と母
音,パ・バ・マ,タ
行音についての演習>
講座C
聴覚障害児と障害認識

<障害認識についての
概論と事例報告>
講座G
ことばの教室の取り組み

【小郡市立大原小学校
   教諭 衛藤泰博先生】
<教室運営と事例報告>
講座B
発音・発語指導U

<カ行,サ行音,ナ行
音についての演習>
講座D
教科指導の実際

<聴覚障害児の教科指
導上で配慮することや
実践報告>
講座H
重複障害児の指導

<重複障害児の指導のあり
方や事例報告>
 
第2日目(7月25日)  《第18回インテグレーション研究会》
  9:00〜 9:30  受 付                    
  9:30〜 9:40  諸連絡                    
  9:40〜12:30  講演会 演題:「インテグレ−ションと聴覚障害教育の課題」
              講師:工業技術院生命工学研究所
                茨城県難聴児を持つ親の会会長 末森明夫先生
 13:30〜15:20  分科会「インテグレ−ションの効果と課題について」
  第1分科会:幼稚園・保育園(報告者)三池保育園 大木美幸先生
  第2分科会:小学校低学年(報告者)久留米市立高良内小学校 高倉恵美子教諭
                                中嶋直子教諭
                   広川町上広川小学校 水町珠江教諭
  第3分科会:小学校高学年(報告者)夜須町立東小田小学校 富安ひとみ教諭
                   三潴町立三潴小学校  田中未季教諭
  第4分科会:中学校・高校(報告者)八女学院中学校    倉田秀樹教諭
                   八女市立見崎中学校  古賀隆子教諭
 15:20〜15:30  閉会行事(各分科会にて)              
 
6.申込方法  参加申込書を7月18日(木)までにファックスで送信してください。
        FAX:0942-45-0139 (e-mail:fhroukrm@dream.ocn.ne.jp
        照会先:〒839-0852 久留米市高良内町2935番地
            福岡県立久留米聾学校 夏期講習会 担当 野村
 
参 加 申 込 書
氏   名  
 
住所(TEL or FAX)  


参 加 希 望 日 第1日目(24日)    第2日目(25日)
1日目
参加希望講座
(○を付けて下さい)
10:45
11:55
講座A
発音・発語指導T
講座C
聴覚障害児と障害認識
講座E
きこえと補聴器について
12:45
13:55
講座B
発音・発語指導U
講座D
教科指導の実際
講座F
最近の補聴器とFM補聴器
14:05
15:15
講座A
発音・発語指導T
講座C
聴覚障害児と障害認識
講座G
ことばの教室の取り組み
15:25
16:35
講座B
発音・発語指導U
講座D
教科指導の実際
講座H
重複障害児の指導
2日目午後
参加希望分科会
(○を付けて下さい)
第1分科会:幼稚園・保育園  第2分科会:小学校低学年

第3分科会:小学校高学年   第4分科会:中学校・高校
昼食(800円) 24日(注文する・注文しない)・25日(注文する・注文しない)
講座に対する希望や、日頃の指導上の悩み等があれば記入してください。




【目次】



研究会開催
 手話による教育,聴覚障害者と聴者の共存をめざす
 トータルコミュニケーション研究大会

大会テーマ:手話がベースのろう教育の展望
 
手話は福祉の世界で市民権を確立したのに続き,ろう教育の世界でも広く受け入れられつつあります。ろう教育の世界においても,いまや,手話がろう者の言語・コミュニケーション手段であることは,広く認められています。また,「ろう者は手話を使う」ことを認めることが,ろう者の障害認識・自己形成の核心にあることも,ろう教育関係者の広く認めるところとなっています。
しかし,手話使用の実態を見ると,「本当は口話法がよいのだが,口話法だけでは通じないから手話を使う」という,やむを得ず「手話のあるろう学校」がむしろ多いのではないかと思われます。聴覚障害者集団の共通のコミュニケーション・言語手段として手話を使う,というのは,まだまだこれからの課題です。教科学習についても「日本語の習得が教科指導の前提」という信仰はまだまだろう学校に根強く残っています。最早期からの手話使用による全人的な発達や手話を使った日本語の習得にいたっては,その可能性すらほとんど認識されておらず,こうした「手話を基盤とするろう教育」は,ほんの一部の家庭・教育機関・ろう学校で,取り組みが始まったばかりです。
26年前のTC研発足以降,日本のろう教育を振り返ると,「口話法一辺倒のろう教育」から「手話のあるろう教育」を経て,現在は,さらに「手話を基盤とするろう教育」への大きな転換点に立っているといえましょう。この「手話を基盤とするろう教育」への転換を推し進めるために,「手話」「ろう者のコミュニケーションと手話」「ろう者の生活と手話」「ろう者の自己形成と手話」など,ろう教育の基盤となるろう者自身の生活・文化に改めて目を向けることが問われているのではないでしょうか。
こうした認識に立って,第25回記念大会を,TC研発足時のように当事者であるろう者の訴えにふれる大会にすると同時に,今後広く展開されることになる「手話がベースのろう教育」を展望し,TC研の役割を探る大会にもしたいと考えています。
 さまざまな立場のみなさんの参加をお待ちしています。
 
1.期日 2002年7月27日(土)9時30分〜28日(日)16時45分
 
2.参加費
    2日間参加 1日のみ参加 交流会参加 昼食代
会員
 
一般 2000円 1500円 4000円 800円
学生 1500円 1000円 4000円 800円
非会員
 
一般 4000円 3000円 4000円 800円
学生 3000円 2000円 4000円 800円
 
 
3.申込方法                             
 (1)下記の郵便振替ロ座に送金して下さい。                
    ロ座番号 O0150-4-40452 加入者名:トータルコミュニケーション研究会
      ただし,振替用紙の通信欄に,■氏名: ■住所: ■TEL/FAX ■所属 
      ■参加費・昼食代・交流会費・TC研会費などの内訳を明記して下さい。
   参加当日,受付に振替領収書を提示して下さい。             
   郵便振替での申込締切=7月20日(但,定員に余裕があるときは,当日参加も可能)
   また,メール,ファクスで先に申し込み,後日,送金または当日支払いも可能
 (2)メールでの申し込み先  arai@a.tsukuba-tech.ac.jp  新井孝昭    
 (3)FAXでの申し込み先  03−3884−9582  前田芳弘    
 (4)TC研会員に加入希望の場合は,「会費4000円」を加えて払込んで下さい。
4.照会先 TEL:090-6035-4686 矢沢国光,FAX:03-3884-9582 前田芳弘   
5.プログラム                            
   27日(土) 臨床講堂
    9:30 受付
   10:00-10:20 挨拶:伊藤政雄(TC研会長)
   10:20-12:00 記念講演「ろう文化をふまえたろう教育」
         講師:前田 浩(大阪市立ろう学校)
   13:00-17:00 「手話によるろう教育・私の実践・私の提言」
          @「なぜ手話なのか。−今2才,手話を使って1年の経過と現在」
            山中美園(広島ろう学校,親)
          A「手話による日本語指導と教科指導の方法」
           前田芳弘(品川ろう学校)
          B「娘よありがとう〜親として学んだこと」
           畠山和子(北海道,親)
   17:30- 交流会(入院棟17Fレストラン)
   28日(日) 上條講堂
   9:00-10:20 「手話の魅力・手話を楽しむ」
         「手話による模擬授業」伊藤政雄(TC研会長)
   10:30-12:00 記念講演「美しい手話・ろう者にとっての手話・ろう文化」
             那須英彰(親,附属ろう)
   12:00-    昼食:TC研総会(非会員の方が同席してかまいません。)
   13:30-16:30 パネルディスカッション「ろう文化とろう教育」
             パネリスト:前田 浩(大阪市立ろう学校)
                    那須英彰(親,附属ろう)
                   畠山和子(北海道,親)
              司 会 :伊藤政雄(TC研会長)
6.会場案内
@会場 昭和大学 東京都品川区旗の台1−5−8  電話03-3784-8268
  7月27日(土) 全体会 昭和大学 臨床講堂
  7月27日(土) 交流会 昭和大学 入院棟17階「レストラン昭和」
  7月28日(日) 全体会 昭和大学 上條講堂
A交通
 山手線五反田駅乗り換え,東急池上線「旗の台」駅東ロ下車徒歩5分  
 JR京浜東北線「大井町」駅乗り換え,東急大井町線「旗の台」駅東ロ下車徒歩5分
 (「旗の台」駅は大井町線と池上線が交叉しています。大井町線で下車した場合も,池上線
   の東ロから出て下さい。)   

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公開講座開催
 広島県立ろう学校公開講座

1.日時  2002年7月24日(水) 9:30〜16:30
2.場所  広島県立広島ろう学校会議室
3.日程  9:30 受付   10:00 教頭挨拶,諸連絡
     10:10 講演「ろう児にことばの力を付けるために」
           講師 上田桂子先生(愛知県立一宮ろう学校)
     12:00 昼食・休憩 
     13:30 実践報告「ろう児に書き言葉の力をつけるための指導の工夫」
           報告者 浜村美香(広島県立広島ろう学校)
     15:00 情報交換会 16:30 終了
4.申込方法 申込用紙に記入し,FAXか郵送(7月18日必着)
5.参加費 1000円(当日受付にて)
6.照会先 〒730−0822 広島市中区吉島東2−10−33
      県立広島ろう学校 高橋美孝 FAX:082-244-0423

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講座開催
 第6回 ろう教育実践交流会

1.期 日 2002年8月22日(木)〜24日(土)
2.会 場 東方2001(広島市東区光町2−7−31)
3.対 象 ろう教育関係者(ろう学校教職員,研究者など)
4.日 程
 22日(木)
  12:30〜受付,13:00〜諸連絡
  13:30〜15:30 「読解力を高めるためのコミュニケーションのあり方を考える」
          長南浩人(神奈川県立平塚ろう学校 高等部) H
  15:45〜16:15 質疑応答
  16:30〜17:30 「ろう者にとっての手話と日本語」
           庭田恭子(広島ろう者文化クラブ) D
  17:30〜18:00 質疑応答
  19:00〜21:00 交 流 会
 
 23日(金) 9:00〜11:00 「ろう児に読み書きの力をつけるために」
              上田 桂子 (愛知県立一宮ろう学校 幼稚部) H
      11:15〜12:15 「書記日本語力を高めるために工夫していること」
              原 瑞恵 (広島県立広島ろう学校 小学部) H
      13:30〜14:30  質疑応答
      14:45〜17:15 「日記指導 −添削をどのように考えるか−」
              上農正剛 (九州保健福祉大学) H
      17:15〜18:15  質疑応答
 24日(土) 9:00〜11:00 「ろう学校における自立活動 −障害認識を基盤に−」
              前田 浩 (大阪市立聾学校 中学部) D
      11:15〜12:15  質疑応答
      12:15〜12:30  まとめ     (※H・・・聴者 D・・・ろう者)
7.照会先:〒730-0822 広島市中区吉島東2−10−33 広島県立広島ろう学校内
      第5回ろう教育実践交流会 事務局 代表 池頭一浩 (いけとうかずひろ)
      TEL 082-244-0421 FAX 082-244-0423 E-MAIL hatsuko@do.enjoy.ne.jp
8.参加申し込み形態と参加費:
 次の6タイプの中から選んで下さい。これ以外の参加形態は原則として認めません。
 基本的にはAタイプ(全日参加)で申し込んでいただきたいと思います。
参加形態
 

 
A
2泊3日
B
1泊2日
C
1泊2日
D
日帰り
E
日帰り
F
日帰り
22日

 
会議    
懇親会        
宿泊        
23日



 
朝食        
会議
昼食
夕食 各 自 で お と り 下 さ い
宿泊        
24日
 
朝食        
会議    
参加費   23000円 18000円 12000円 6000円 5000円 5000円
 ※23日の夕食は懇親会を兼ねます。
 ※参加費には宿泊費,食費,懇親会費,会場費,会議費,事務通信費,雑費を含みます。
  参加費は当日,受付の際にお支払い下さい。


第6回ろう教育実践交流会 参加申し込み用紙
フリガナ
名 前
                              
                              ( 聴者 ・ 聴覚障害者 )
所 属  
連絡先
(住所等)

 


 FAX                 TEL
 E-MAIL
参加形態 A ・ B ・ C ・ D ・ E ・ F
メッセージ

 
(知りたいこと,悩んでいることなどをお書き下さっても結構です)


 
〔送付先〕FAX 082-244-0423 7月19日(金)締め切り
※定員50名。申込多数の場合は,参加をお断りすることがあります。ご了承下さい。

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ミニ・ニュース

★養護学校教諭免の必要単位が放送大学で取得可能に
先日来,紹介しているとおり,特殊教育免の取得を容易にするために放送大学での知的障害関係の講義が開講されることになった。開講されるのは以下の3科目。「障害児教育論」「発達障害児の心と行動」「障害児教育指導法」。しかし,一方的に講義を聞くだけで,ディスカッションもなく,実技もなく・・・,それで障害児関連の単位を取得しましたとして良いのだろうか? 私は疑問を感じる。 
詳細は放送大学のホームページ=http://www.u-air.ac.jp/hp/top/pdf/topics1-2.pdf
 
 
★NHK教育,中学生向けの学校放送にも字幕入り番組を作成
NHK教育テレビで放送されている番組の字幕入り番組は,小学校の総合的な科目を中心に組まれていた。今年4月からは,中学生向けの総合学習番組「テイーンズTV GO!GO!ボランテイア」にも日本語字幕がついている。
放送は,毎週火曜日14:00〜14:20分。放送予定,番組の内容などは,下記のホームページから確認できる。http://www.nhk.or.jp/gogo-vol/
 
 
★NTV使用の「リアルタイム字幕システム」が放送文化基金賞を受賞
昨年8月より,日本テレビのニュース番組における"生字幕"に活躍している「リアルタイム字幕システム」を開発した『リアルタイム字幕システム開発グループ』(代表:日本テレビ放送網(株)新技術調査企画本部 菊地秀彦)に対して,第28回放送文化基金賞 個人・グループ部門〜放送技術〜が授与された。日本テレビで導入されている『リアルタイム字幕システム(略称リアルキャップ)』は,もともとは筑波技術短期大学の小林正幸教授らがスピードワープロ研究所と開発してきたシステム。
受賞に関しては,下記のNTV広報に詳しく,この中には,「リアルキャップ」の構成図や,字幕番組表が掲載されている。
http://www.ntv.co.jp/info/news/100.html
 
 リアルキャップでのニュースは、次の番組内で放送している。
  NNNニュースダッシュ 月〜金/11:30〜11:50
  NNNニュースダッシュ 土・日/11:30〜11:40
  ニュースプラス1 月〜金/17:00〜19:00
  ニュースプラス1・サタデー 土/18:00〜18:30
  NNNニューススポット 月〜日/20:54〜21:00
  The独占サンデー内NNNニュース 日曜/18:00〜19:00内

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関連文献紹介

★特別支援教育
「聾教育とマルチメディア」清水桔平,6月号,15-20,2002
 
★リハビリテーション
「聴覚障害者のツールとしてのインターネット」,越智公政,444,17-20,2002
 
★聴覚障害教育工学,25(2),2002
「聾学校の学習指導場面における教師と児童のかかわり方に関する個性記述研究」,
 山之内幹,3-9     
「意欲をもって楽しく取り組める発音・発語指導」,及川康,10-20
「聾学校学習指導要領の沿革と教育課程の編成の動向」,小畑修一,21-44
 
★文部科学時報1513,2002
「特別記事:障害のある児童生徒の就学指導の見直しについて」,50-57
 
★THE HEARING JOURNAL 55(3),2002
「Using sound-field systems to teach phonemic awareness to pre-schoolers
 Carol Flexer, Kate Kemp Eiley, Alyssa Hinkley, Cheryl Harkema, and John Hokomb ,38-44
「Why you need a compliance program and how to develop one for your practice 」
 RayJones,46-47
「How to reduce the occlusion effect」,Robert L. Martin,72
「So, you want to be a pediatric audiologist,do you?」, MaryJoGrote,74
 
★THE HEARING JOURNAL 55(5),2002
「Is evaluating auditory processing disorders in your scope of practice?」,
 Robert W.Keith ,10-17
「Study measures user benefit of two modern hearing aid features」,Birgitta Gabriel ,46-50
Verification in pediatric hearing aid fittings」,Julie A.Christensen,57
 
★JOURNAL OF EDUCATIONAL AUDIOLOGY 9,2001
「A Comparison of the Performance of Classroom Amplification with Traditional and Bending
 Wave Speakers」Susan G. Prendergast,1-7
「Effects of Portable Sound Field FM Systems on Speech Perception in Noise」
 Carl Crandell, Malika Charlton, Michelle Kinder, Brian M. Kreisman,8-12
Coupling FM Systems to High-Technology Digital Hearing Aids」John A. Nelson.13-19
Kids in Noisy Classrooms: What does the Research Really Say?」Karen L.Anderson,21-33
Verification of Nonlinear Hearing Aids: Considerations for Sound-Field Thresholds and
 Real-ear Measurements」Francis Kuk, Carl Ludvigsen,34-41 
「Assessing Auditory Processing Problems in the School Setting」Kris English,42-46
「Auditory Processing Assessment in Children: Towards a Dual Approach」
 Judith T. Blumsack.,47-50

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・・・ひとこと・・・

先日、聾学校で多く読まれているであろう月刊誌を拝読し、少々驚いた。少々長くなるが引用したい。
  
「我が国の聾学校の大部分が口話法(音声言語をメディアとする教育方法)による教育を目指しているのは、主に次のような理由からである。第一に、様々なメディアのなかで音声言語は、情報量の多さ、伝達内容の正確さ、抽象性の高さ、思考の道具という点で、最も有利なものである。第二に、音声言語による言語の習得の時期は限られており、聾学校入学の時期にメディアを使用すると、音声言語の習得の妨げとなり、音声言語の習得の時期を逃してしまうことになる。第三に、社会の一員として自立した豊かな生活を営むためには、一般社会に通用している音声言語の習得が必要である。」
  
さて、聾教育の世界で教員として聴覚口話法に取り組んできた過去を持つ私は、この文章を読み、悲しみを禁じ得なかった。第一に音声言語ほど曖昧な言語はないと思うし、内容伝達に誤解を生じさせる可能性もあるモード(「メディア」という表現自体がいかがかと思う)であると思う。第二に音声言語の習得のみが聾教育の目標ではないはずである。私は、音声言語の習得をしなくとも、聾学校は社会から背負われた学校の責任=教育目標の達成ができる方法をも開発するべきと考える。第三に「一般社会」とは何であろうか。仮に一般社会=大多数として、その大多数にすり寄ることが「個を尊重する」障害児教育が設定する目標あるいは価値観であってよいのだろうか。車椅子を捨てさせ、遮二無二歩かせることが個々の障害に実態に合わせた教育の目標で良いのか。障害があるのだから、障害の実態に合わせた代替ストラテジーを拓き、それを教えることも障害児教育諸学校の役割だと私は思う。
著者を責める気持ちはない。故に冊子名も著者名もあげない。しかし、著者の肩書きに「全国聾学校長会会長」とあった。これでは、全国の聾学校が、上記のような数十年前の誤った障害観に基づく教育を、今も行っているように思われてしまう。
現在、多くの聾学校が手話を巧みに取り入れ、かつ聴覚・音声の指導も続け、加えて読み・書きに重点を置きながら日本語の大切さをも教えながら,一人ひとりの障害の実態に合わせた教育方法の開発に砕身している。こうした努力が正しく社会に伝わらないことは、実に悲しいことと思うのである。

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